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今日の筆洗

2021年11月29日 | Weblog
「残念な事実」が戦争と平和の関係にはあると、ジョン・F・ケネディ元米大統領が言っている。「戦争の準備をすることによってのみ、平和を獲得することができる」▼平和に近づくためには、軍備を鍛えるしかない。逆説的な理屈は、冷戦期の政治家にとって、現実的で強力なものに映ったようだ▼対極にあるはずの戦争と平和は時と場所によって、近くもなり、境界もぼやけるものかもしれない。ノーベル平和賞の受賞者が人々の戦意を鼓舞しているというエチオピアのニュースも、そんなことを考えさせられる▼政府と反政府勢力との紛争が激化している。反政府勢力が、首都アディスアベバに迫っていると報じられている。国際社会から停戦を求める声があがる中、隣国エリトリアとの国境紛争の終結を理由に一昨年のノーベル平和賞を受けているアビー首相は、軍を指揮するため、前線に赴いたそうだ▼受賞の際に戦争への憎しみを語り、隣国との間で築いた和平を誇っていたが、いまは「敵を地に埋める」などと言っているらしい。平和の人の姿勢は、交渉による解決が難しくなっている状況もうかがわせていよう▼平穏な時に平和を唱えるのは難しいことではない。戦いの炎がひとたび燃え上がってしまってから、それを抑えるのがどれほど難しいか。戦争と平和賞が浮かび上がらせている残念な事実かもしれない。