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今日の筆洗

2021年11月20日 | Weblog
今季の米大リーグが開幕してひと月あまり過ぎたころ、メッツの主力ストローマン投手がツイッターで、大谷翔平選手への賛辞を重ねつつ明かしていた。「試合が終わると、電話に向かって走り、彼がその夜何をしたかをチェックしている」のだと▼あこがれの選手の活躍を一刻も早く知りたいと走る少年の姿が浮かんでくる。ときに野球少年を思わせる大谷選手だが、他チームの立派な大リーガーまで子供のようにした今季である▼同じように魅了された米国の野球記者は多かった。満票の記者投票の意味はそういうことだろう。圧倒的な支持を集めて、大谷選手がア・リーグの最優秀選手に選ばれた▼数々の強烈な本塁打、コーナーに決まった160キロ級の速球とともに、今季の印象に残るのが、投手として死球を与えた場面である。謝罪しないという米大リーグで、自然にわびを入れ、相手を気遣った。プレーだけでない純粋な精神に、米国の記者も感じ入ったようである。「尊敬に値する」と書いていたのを読んだ▼右肘の手術の後、投打ともに進化している。並の努力ではなかったはずだ。さらに上も目指すという▼二種類の人がいて、一方は少数で<自分に多くを要求し、自分の上に困難と義務を背負い込む人>だと思想家オルテガが述べている。少年の純粋さと選ばれた人の厳しさと。両面を持つ堂々のMVPであろう。