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今日の筆洗

2022年03月05日 | Weblog
ウクライナのキエフ出身で、翻訳などの仕事をする女性オリガ・ホメンコさんの日本語のエッセー集『ウクライナから愛をこめて』。一九八六年のチェルノブイリ原発事故の記憶も書かれている▼著者は当時、中学生。キエフは現場から百キロ以上あるが、ラジオの声は帰宅後は靴を洗い、建物の窓は全て閉めるよう促したという。やがて親と離れ、原発と反対方向の保養地に学校ごと列車で避難。「子どもばかりの汽車だったのでちょっと不思議な感じだった」と記す▼ロシアとの戦いのために出国できない十八〜六十歳の男性を残し、女性と子どもが列車などで逃げる今のウクライナ。南部のザポロジエ原発をロシア軍が攻撃し、占拠した。惨事を招きかねない蛮行である▼チェルノブイリ原発もロシア軍の手に落ちたが、職員は留め置かれている。休息が不十分で疲弊し、安全が懸念されていると米メディアが伝えている。ロシアのプーチン大統領が放射能の怖さを知らないとは思えぬが、指揮下にある軍の行動は理解に苦しむ▼オリガさんの中学時代の避難は三カ月で終わった。エッセーにこうある。「どれだけ嬉しかったか! また両親と一緒に家に住めるし、好きな学校にもいけるし、みんなで授業を受けられるし−」▼プーチン氏には、家を出た人々がすぐに帰れるよう切にお願いしたい。遠征の続くロシア兵も含めて。