東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2022年03月22日 | Weblog

作家の向田邦子さんが宿題の思い出を書いていた。小学生のときだったそうだ。朝になって終わっていない宿題があることに気づいた▼「どうしてゆうべのうちにやっておかない」。父親に叱られ、半べそで宿題をやったそうだ。後でおばあさんがこんな歌とともに宿題は前の日に終わらせなければいけないよと教えてくれたという。<明日ありと思ふ心のあだ桜夜半に嵐の吹かぬものかは>。明日、見ればいいと思っていた桜の花だって夜中に嵐で散ってしまうことだってあるではないか。だから一日一日を大切にしなければ。そんな意味だろう▼気象庁が二十日、東京都心でソメイヨシノが開花と発表した。平年より四日早いそうだ。もうそんな季節になったか▼開花の知らせに桜の多い近所の河川敷に出かけるが、このあたりはまだまだで、つぼみは固く、<明日ありと>と油断してもしばらくは大丈夫そうである▼ロシアの侵攻が続くウクライナの首都キエフ。その地で桜が咲くのはだいたい四月の終わりから五月だそうだ。穏やかな桜を見せてあげたいが、ロシアの攻撃によって深刻な状況が続く▼侵攻からまもなく一カ月。当初は数日の間にキエフは陥落すると言われながらも懸命に持ちこたえている。一日でも一秒でも早い停戦に向けた、国際社会の一層の取り組みを願う。<明日ありと思ふ心のあだ桜>とかみしめる。