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今日の筆洗

2022年03月16日 | Weblog
猟師の家にお客が来たが、あいにくもてなす料理がない。しかたなく、猟のおとり用に飼育していたヤマウズラを食べることにした▼それを知ったヤマウズラは腹を立てる。「これまでおとりとなってあなたの役に立ったのに殺す気なのか」と主張すると、猟師は「だからますます殺さなければならぬ。仲間さえ容赦しないやつだからな」▼イソップ寓話(ぐうわ)の「猟師とヤマウズラ」。起訴された広島県議らは都合よく利用されたヤマウズラの気分か。二〇一九年の参院選を巡る大規模買収事件で河井克行元法相から現金を受け取った地元政治家ら三十四人が起訴された▼検察当局の当初の判断は一律不起訴。お金を受け取った側は受動的な立場にあったというのが理由だが、河井元法相の摘発を優先し、検察にとって有利な証言を得るため、地元政治家らの訴追を見送る「裏取引」もあったのではとささやかれる▼起訴すべきだという検察審査会の議決を踏まえ、一転起訴となった地元政治家らは天をあおいでいるか。もちろん一切同情できない▼イソップのヤマウズラとは異なり、非は地元政治家らにある。非は政治家という高い倫理観を求められる立場にありながら、受動的だろうとお金を受け取り、選挙という民主主義の根幹を傷つけた者にある。起訴は当然のことで、一時は不起訴とした猟師の腕や判断力の方も疑われるだろう。