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今日の筆洗

2022年03月12日 | Weblog
昨年公開の映画「アジアの天使」(石井裕也監督)は、妻を亡くした小説家(池松壮亮)が八歳の息子を連れ、韓国・ソウルに住む兄(オダギリジョー)を訪ねて始まる。この日本人三人がひょんなことから、元アイドルの女性とその兄、妹の韓国人三人と一緒に韓国を旅する▼日本側の兄は怪しげな商売に手を出す軽い人で、韓国語で「愛してる」と「ビールください」が言えれば韓国でやっていける−が持論。一方の韓国側の兄は、妹への下心を警戒して夕げで酒に酔い「日本人と妹の恋の可能性は0%」「歴史の問題がある」などと力説するが、旅を続けるうちに「日韓」の距離は縮まる▼政治でも両者の氷解は進むだろうか。韓国大統領選で保守系の尹錫悦(ユンソンニョル)氏が当選した。日韓関係改善に意欲的という▼革新系の現政権時代に歴史問題がこじれ、最近は両首脳が会うのも難しい。互いに妥協できないことが多いとしても、放置してよい現状ではなかろう▼映画の韓国人兄妹は、早くに両親を亡くしている。母親はがんだった。兄は、日本人の小説家ががんで妻を亡くしたと知ると「そうか。同じなのか…」とつぶやく▼会って話して分かることもある、という真理。仮に首脳会談が実現したら、何語にせよ「愛してる」とは言わなくていいが、「ビール−」と言うのは構わぬだろう。幸い先方はわが宰相と同様に、酒豪と聞く。