「昨年修理した時計が止まってしまった」とご連絡あり、お客様ご来店頂きました。
再修理を施すことでご理解頂き昨日作業開始
カルティエのお品物は部品点数少ないがそれぞれの部品精度が高いため分解掃除で具合が元通りになること多く、修理経験数もそれなりに実施しているムーブメントなので、このように再修理をすることはあまりありません。お客様の申し出通り止まっていることも事実。
「原因をしっかりと突き止めなくては」と普段よりも慎重に作業しました。
分解時にはそれぞれの部品を目視確認し、問題ないかチェックします。
普段よりも時間をかけて作業していると「違和感」がありました
スマホ接写に問題あります。申し訳ありません。中央にローターがありますが、その左側に異物があります
ローターは永久磁石で作成されている部品になります。長年の使用で、ケース内の切子や粉状金属が磁力により付着することはあります。今回の付着物はかなりの大きさ。
付着していたのは「機止めネジ」でした。ネジ山部が2つに割れて、割れた片が時計内移動しローターに付着、時計が停止となった様子。
白〇部がムーブメントと中枠(ケース内での移動防止の為のもの)を固定させるネジ(=機止めネジ)です。割れることは、極まれに発生しますが、その片がローターに付着してしまうことは記憶にありません。
原因が判って良かったことと、ネジ片の移動時にその他部品にダメージを与えていないか心配な面もありますが、数日は経過観察してみようと思います。