エアソフトガン(エアガン)のカスタム手法として定着している流速カスタム・チューンですが、間違った施工方法や理論が定着している場合もあり、今回はその一つをご紹介したいと思います。
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バレルカットとは言葉のとおりバレル(銃身)をカット(切る)することで、一般には流速カスタムを施工した際のパワー調整として弾速計を指標に少しずつ短くしていくのがセオリーとされていますが、これじつは間違った施工方法なんです。
もちろんバレルをカットすることでパワーが低下するのは事実ですが、バレルの長さは銃のパワー特性にも大きな影響を与える因子でもあり、気分で切ってしまうと後で後悔することになるかもしれません。
こちらは私がカスタム施工した「CYMA M24 パワーカスタム流速β」のパワーを計測したデータですが、0.2g弾をゼロHOPで発射した(画像左)場合に対してピークパワーが発揮されるHOP位置で計測した場合(画像右)はパワーが上昇しています。でもこのまま撃つと弾は空に向かって一直線、HOPが強すぎるから当然の現象です。*このM24は通常のバレルカットとは異なる工法で製作されていますが効果は同等になります。
続いてこちらは0.25g弾(画像左)0.28g弾(画像中)と0.3g弾(画像右)それぞれにHOP適正時のデータですが、パワーは0.28gHOP適正時にピークを迎えます。言い換えればこのM24は0.28g弾を使用した時にベストなセッティングになっているのです。
勿論この特性は偶然にできたものではなく事前に予め予測した数値を割り出しているからこそ発揮できる性能で、0.25g弾にピークパワーを合わせた「パワーカスタムα」や0.30g弾~0.33g弾用の「パワーカスタム流速γ」では、それぞれまた違った数値で作る必要があります。
ピークパワーを使用弾の重さに合わせてセッティングするのはより高いパワーを合法的に発生させるためでもあり、0.989Jという限られたパワー制限の中では効率の良いパワー特性であることも性能を高めるのには必要になってくるのです。
バレルカットでパワーの帳尻を合わせるメリットは分解の手間が省けることぐらいでしょうか、そんなことのために性能を犠牲にするのではカスタムの名折れ、必要な手間を惜しんでいては高い性能は発揮できません。ひょとすると「流速カスタムは負荷が増えるだけで効果がない」なんて話も、上手くセッティングが出せないヘボチューナーの言い訳なのかもしれません。
バレルの長さはいわば”秘伝のタレ”みたいなもので、個々のチューナーが苦労して得た自分の経験や知識から導き出した大事な流速カスタムのレシピなのです。だからこそ切る時は慎重に・・・(笑)