エアガンに使われているインナーバレルについてのお話です。
まずインナーバレルとは銃身のこと6mmBB弾で規格がほぼ統一されているエアソフトガン(以下エアガン)には ↑ こんな感じの部品が入っており純正品の他にもパーツメーカーからも色々な商品が販売されています。
前回ご紹介したマルイM4 SOPMOD FIRSTカスタムにもこんなのが入っていました。真鍮製の純正バレルをへし折っているこのステンレス製カスタムバレルの売りはとにかく「頑丈」なことみたいです。
ただノーマルバレルが破損したなんて話は聞いた事がありませんのでアルミ製でも強度自体は十分、軽さを補うパーツも色々ありますのでワザワザ交換しなくてもいいような気もしますが、乱暴に扱う人にはそのぐらいの強度が必要なのかもしれません(汗)
このカスタムバレルは俗にいうタイト系バレルで純正6.08mmに対して6.03mmの内径で作られているようです。ただ大昔のプラ製バレルならともかく今の純正バレルを交換しても性能はそこまで変化しません。数値にして3~5%といったところでしょうか。それよりも内径が細くなる事でバレルの内壁にBB弾が当たりやすくなって命中精度が悪くなる弊害が問題になります。
ちなみにこのカスタムバレルは実際には6.01mmぐらいの超タイトバレルのようで、6.00mmの硬質ベアリングボールをそっとバレル内に入れてみると画像右の6.08mm純正バレルではコロリとすべり落ちるのに対して真ん中ぐらいで停弾してしまいます(画像左)試射でも一回りぐらいノーマルSOPMODより散るような印象でした。
古い話で恐縮ですが1988年にMGCからS&W M645というフィクスドガスガンが発売されたのをご存知でしょうか。搭載されていたサイクロンバレルはライフリングが刻まれた特殊なバレルで「バレル内に発生したエアーの渦でBB弾を回転させて命中精度を向上させる」ことを売りにしていましたが、実際にはBB弾は回転しておらずこの一流メーカーの大ウソで業界は大騒ぎになります。
雑誌でも取り上げられたこの問題は「回転はしなくても、ライフリングのすき間から逃がされたエアーがバレルとBB弾の接触を防ぐことで命中精度は向上している”らしい”」という結論に至り、後に「バレル内の気流が命中精度を向上させる」的な理論に続きます。
そして発生した「タイトバレルとルーズバレルはどっちがいいの」論争?の結果、極端に隙間を減らしてパワー効率を優先するタイトバレルとあえてブカブカで精度を謳うルーズバレル、いったんは否定されたはずのサイクロンバレルも「ツイストバレル」として再登場してたりワケの分からないカスタムバレルが市場に溢れかえりますが、一方でエアガン製造メーカーが採用するバレルは6.05~6.10mm程度の内径で落ち着き技術的には成熟を迎えて現在に至ります。
という訳でせっかく入ってるこの6.03mm(実際には6.01mm)の超タイトバレルも取り外してノーマルの6.08mmバレルで施工させて頂くことになりました。せっかくお金をかけて交換されたご依頼者様には申し訳ないのですが使えないものは使えないのが技術の世界、とどのつまり今のノーマルバレルってよく考えて作られているんです。
以上、インナーバレルの内径についてのお話でした。