銃刀法が改正された2006年以降”同じパワーでも飛距離が伸びる魔法のカスタム” として注目されてきた流速カスタム・チューンですが、それをめぐっては賛否両論色々な説が未だに飛び交っています。今回はそんな流速カスタムにまつわる噂の真相を私の独断と偏見に多少の経験を加えて話してみたいと思います。
1,「流速カスタムは飛距離が伸びる」
ウソです。
たぶんこれが要(かなめ)の話になるんじゃないかと思うのですが、流速カスタムを施工しただけでは飛距離は伸びません。もちろん正しく施工された電動ガンやエアコッキングガンはノーマルと比較にならないくらい伸びるのですが、それには ”重量弾” を発射する必要があるのです。
軽い弾はバレル内での加速が容易で発射直後の弾速も速くなりますがその分すぐに失速してしまいます。対して重い弾は加速させるのが難しい反面、蓄えたエネルギーを長く保てる特性があるので距離が離れてもまだ力は残っているのです。そしてこの余力を生かして飛距離を伸ばすのが流速カスタムです。
ただ0.20g弾に流速カスタムを組み合わせても全く恩恵がないのかというとそうでもなく、ノーマルよりも揚力(HOP)を強く発生させることができる流速カスタムの弾道はより直線的になって狙い易くなります。
2,「流速カスタムは当たると痛い」
ホントです。
これも運動エネルギーの残存率が弾の重さによって違うからなのですが、銃口直後のパワーが同じでも距離が離れるにつれて大きく失速する軽い弾と失速しにくい重い弾とでは着弾時のパワーも違ってくるのです。
例えばノーマルセッティングのエアガンで40m程度の距離からフルオートで0.20g弾が何発もヒットしても「ん?」ぐらいにしか感じませんが、これが流速カスタムで発射された0.30g弾だと50mで一発くらっただけでも「あ、くそ~」ぐらいしっかり認識できます。「おまえの銃、オーバーパワーだろ」なんて言いがかりつけてくる人もいるくらいですから確かに違いはあると思いますよ(汗)
3,「流速カスタムは命中精度が悪い」
微妙です。
流速カスタムは射出力を上げるのにバレルを短くカットするので理論上の精度は低下することになります。が、感触的にはバレルが短くてもある程度の精度は維持できるみたいです。
例えばマルイのVSR-10GスペックやM40A5などは300mm程度の長さしかありませんがサバイバルゲームでスナイピングを行うのには十分な性能があります。逆に600mm近くあるPSG-1やドラグノフが最高の精度を誇っている訳でもなく、経験的にはバレカット(短いバレル)=精度低下とは一概に言えないようです。
もっともスナイパーライフルに施工する流速カスタムともなると最高の精度も求められますので、この場合は手間が余分にかけてでもバレルカットを行わない精度重視のセッティングを行うようにしています。
4,「流速カスタムは耐久性が低い」
ウソです。
たぶんメカボックスを割ってしまうような強引なセッティングしかできない人は単純にヘボなチューナーだと思います。あとFETや電子トリガーを入れないとスイッチを焼いてしまう人もかなりヤバいです。
海外仕様の電動ガンはノーマルでも1.5~2J程度のパワーがありますがメカボックスの強度やスイッチは特別なものでなくても十分に作動しています。つまりこれを壊したり焼いたりする人はフルパワーの海外仕様以上の負荷をかけていることになり、だから壊れるのではないでしょうか。
5,「流速カスタムは音が大きい」
ホントです。
ノーマルより短いバレルで加速する流速カスタムはパワーを得るのに強いスプリングを必要とするので発射音が大きくなってしまいます。でもそれがよく言われる「爆音」になるかどうかはセッティング次第で、静音材を使用したりシリンダー容量を適正に調整すれば実射性能を落とさなくてもノーマルと同程度に抑えることは可能です。
総評
他にも探せばいくらでもある流速カスタムに関する話、「BB弾を発射時のエアーが包んで空気抵抗を減らす」とか「強いHOPが弾速計で計測できない謎パワーを発生させている」なんてのはバカらしくて思わず笑ってしまうのですが、逆に「弊害の方が多い」とか「ノーマルで十分」なんて言う話も未熟なチューナーの言い訳でしかないような気がします。
ところで私の作る流速カスタムには人には言えない秘密の技術が投入されているのですが、それには「異星人のUFOテクノロジー」が応用されているのでそこらのカスタムガンとは一味違う性能が出せるんです(笑)
以上、流速カスタムのホントとウソについてお伝えしました。
昔々にPPKのコッキングガンがあったのをご存知ですか?今回はマルシン ワルサーPPK/sの思い出レビューです。
今から約40年前のお正月、当時小学6年生だった私はお年玉をはたいてジェームズ・ボンドになりました(汗) ¥7.000(たしかそのぐらいです)の大金をはたいて買っただけあってそのPPK/sは小さくてもずっしりといた重さがあり、ただそれだけで「さすがリアルなモデルガンも作ってるメーカ―だな」なんて納得したのを覚えています。
ボンドはバーンズマーチン製のショルダーホルスターにPPKを入れていましたが、銃を買ってお金が無くなった私にホルスターが訳買える訳もなく、用もないのにPPK/sをズボンのベルトに挟んでウロウロするその様子は「007」というよりは「タクシードライバー」のアブナイ主人公といった感じです。
今の電動ハンドガンと似たような構造でグリップにエアシリンダーを備えるのはスライドをデフォルメしたくなかったマルシンのこだわりといった所でしょうか。18禁モデルですので(当時は小学生でも買えました)サイズの割にはパワーもそこそこにはあったと思います。
が、パワーがある分ピストンを圧縮するカム状の部品には負担がかかってしまうようで、壊れた部品をメーカーに電話して取り寄せたのを覚えています。HOPがない時代ですので飛距離なんて20~30mぐらいしかありませんが、弾道は素直で小さいながら命中精度は良かったような気がします。当時のマルシンはやや大きめの専用弾を使っていましたがこのPPK/sは普通のBB弾でも問題なく動いてくれました。
中型ハンドガンとしては健闘していたPPK/sですが大型モデルと比べるとどうしても性能的に見劣りしてしまうのは否めないところ、しかもそれがたったの1900円で買えてしまう(マルイのP38とか)不条理?に対抗するために色々と工夫したのが今のエアガンカスタムにハマってしまった私の原点だったのかもしれません(大して性能は変わりませんでした)。
結局このPPK/sは2度目のカムの摩耗でコッキングができなくなる中学3年の秋まで約4年間に渡って私の良き相棒として腰のベルトに挟まっていました。今でもヤフオクなどで状態の良い出物があれば欲しくなるのですが、もうそんな物で満足する筈もないので、このまま良い思い出として記憶に留めておくようにしておきます(笑)