東洋環境分析センタ- 現場奮闘記

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私たちの仕事 フッ素 分析篇  化学分析グループ

2011-12-12 | 技術部
こんにちは。化学分析グループの秋枝です。

化学分析グループの前回のブログでは、シアン(CN)分析における一連の流れを説明させて頂きました。
さて、今回は皆さんの身近な物質でもあるフッ素について説明させて頂きます。
テレビ等でよく歯磨き粉などに入っている成分として紹介されますが、適量を守らないと初期症状として嘔吐、下痢、腹痛、痙攣を引き起こし、最悪の場合は斑状歯、骨硬化症になってしまいます。
また、自然界においても蛍石や氷晶石などにフッ素は多く存在し、ロケット燃料の酸化剤、半導体のシリコン屑を除去する用途としてフッ素が用いられています。

フッ素分析は直接蒸留法とは違い、水蒸気蒸留法で蒸留します。試薬には主に二酸化ケイ素、リン酸、硫酸を使います。
(突沸する時もあるので要注意です。)

↑↑蒸留時の状況はこのような感じです。↑↑

さて、蒸留後は吸光光度計による発色ですが、フッ素の発色法の名前・・・「ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法」と言います。かっこいい名前です!
操作としては、蒸留後の検体を50ml比色管に30ml分取し、アルフッソン5mlとアセトン10mlを入れ蒸留水にて50mlにメスアップし、1時間静置します。
↓↓↓こんな感じです↓↓↓
   (検 量 線)              (検 量 線)
発色時写真(試薬投入直後)        (60分後)
 ⇒ ⇒ ⇒ 
               60分後


発色法の名前はかっこいいのに・・・なんか地味な色です。
しかも、試薬投入後と1時間後の色の違いが写真ではあまり区別できません。
でも、吸光光度計はしっかり色の違いを見分けてくれる頼もしい「仲間」です。

           (吸光光度計での計測)


フッ素の出ない検体の比色管は赤紫色をしていますが、フッ素が大量に入っている時の比色管は青色に変化します。
弊社にはシリコン除去後のフッ素排液や焼却場から出た飛灰などフッ素を多量に含有している検体も持ち込まれます。

〈今回の分析法〉JIS K 102 34.1
          (ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法)
規制基準値・・・排水…8mg/L  環境水・土壌汚染対策法(溶出)…0.8mg/L 
         土壌汚染対策法(含有)…4000mg/L


分析者が分析している項目は、私たちの身の回りに存在する物質が多く、これらの物質と共存しながら私たちは生活しています。このような物質は適量では「良薬」でも多量の摂取により「毒」とも成りえます。
これからの未来環境の為に、目の前の自然をもう一度見つめ直してみませんか?
コメント
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