金魚cafe

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鹿の王

2017-11-24 22:09:53 | 読んだ本
上橋菜穂子著 角川文庫

まだ読書の秋続けております。

これは先輩から面白いと勧められてお借りして読みました。


全4巻読むのに結構かかりました~~。


精霊の守り人、獣の奏者エリン、と続けて読んで今回初めて主役が男性。

詳しくは書かれておりませんがもう若くはない中年の戦士。

設定が隣同士の国との関係が非常にデリケートなところはみんな同じです。

東乎瑠(ツオル)とムコアニア王国に挟まれたアカファ王国。

アカファ王国は東乎瑠との戦に敗れて属国となりました。

その戦士であった主人公の独角のヴァン。

戦に敗れたのち捕虜となり岩塩窟で奴隷として働かされます。

そんなとき岩塩窟に山犬の集団が襲ってきて噛まれたものは原因不明の病で命を落としてほぼ全滅させられます。

狂犬病みたいなもの?と想像してしまいましたがそれが何なのかが解明されていくのですが。

唯一生き残ったのがヴァンと岩塩窟で働いていた女性が連れてきていた赤ん坊のユナ。

これ幸いとユナを連れて脱出するのですが。

東乎瑠の医者であるホッサルが病にかからなかったヴァンとユナに病から助かる理由があったのではないかと後を追います。

それを命じられたのがサエという女性です。

サエという人がカッコよくてヴァンがいなかったらサエが主人公でもいいんじゃないかというそうですね~~。

精霊のバルサみたいな感じの人です。

隣同士の国というのはなかなか仲良くできないもので互いに親戚関係を結んだり忠誠の証を立てたりと難しいです。

食べるもの、信仰するものが違うとこんなに理解するのが難しいのかと。


東乎瑠という国がなんとなく私たちが今住んでるところにちょっと風習とか似ていたり、アカファがどこかの国と似ていたりと子供が読めばすんなりと東乎瑠という国なんだと思うところがオトナはこれはあちらの国なのかと深読みしてしまいます。

物の起こりには必ず原因がありそれを突き止めなくてはならない、昔からの言い伝えもその理由がちゃんとあるというファンタジー小説なのり理路整然としたところが納得がいくお話だったと思います。


壮大なスケールの話と細やかさ(美味しそうなお料理など)が上手く混ざって冒険を楽しめるし、出てくる食べ物も作ってみたいという2つの楽しみができる小説でした。




ヒートアップ

2017-11-20 22:39:29 | 読んだ本
中山七里著 幻冬舎。

リチャードさんの時はあまり本を読んでなくてロスを埋めるように一気によんじゃいました。

ヒートアップの前に「魔女はささやく」という小説が書かれておりまして別々に読んでも続けて読んでもどちらもOKな感じになっております。

渋谷などの繁華街で若者を相手に「ヒート」というドラッグを売られていましたがそれを使ってしまうと狂暴になりそのときの記憶が飛んでしまうほどのハードさと解毒されず最後は廃人になってしまうという最悪なものです。

麻薬取締官の七尾はその売人を追いますがなかなか正体を現さずたどり着いたときには売人は何者かに殺害されており、その容疑が七尾にかけられます。

その七尾とタッグを組んで犯人とドラッグのルートを探るのが敵対する暴力団の幹部山崎。

この山崎がなかなかの人物でどこかで聞いたことがあるなぁと思ったら中山七里センセーの御子柴弁護士シリーズでも登場していました。

この「ヒート」が何処で作られているのかと探っていくととんでもないものが出てきてどうやって解決するんだろうとこんなこと公にはできないしなかったことにもできないしという感じでした。

最初はなんだかドロドロした感じだったのが読み進めると敵対してるのに息ピッタリで良いバディではないかと思いました。

またこの二人で続編あったら読みたいです。

中山センセーは人物よりこの劇薬「ヒート」がお気に入りみたいで別の作品でも出てきています。

関数ドミノ

2017-11-13 21:48:51 | 芝居
兵庫県立芸術文化センターに「関数ドミノ」を観に行ってきました。

リチャードさん観てから一週間経ってなんだかロスというのでしょうか無性に舞台が観たいなあと。

「抜け穴の会議室」や「散歩する侵略者」、「奇っ怪其ノ参」などの前川さんの作品でイキウメさんのではないですが出演者が柄本時生さんや勝村政信さんの演技が観たくて楽しみにしておりました。

前川さんの作品は人とは違う特殊な能力をもつ人がよく登場します。

ある見通しの悪い左にカーブする道路で不思議な交通事故が発生します。

カーブを曲がってきた乗用車。道路を渡りかけた人。
渡りきって危ないと叫ぶ友人。

その一部始終を歩道橋から目撃していた二名。

車を運転していた人。

助手席のの同乗者。

普通ならば渡りかけた人がはねられて人身事故となりますが、渡りかけた人は無傷で車が大破、助手席の人間が重態とありえないことが起こりました。

現場検証で集まった関係者と保険調査員。

これは不思議な能力者「ドミノ」の力で起こった現象だと。

最初は誰も信じなかったのですが次から次へと起こる奇跡のような出来事にみんなドミノの力を自分のために利用しようとなります。

このドミノ探しに巻き込まれる気の良い駆け出しの作家森魚に柄本さん。

交通事故の単なる目撃者だったのがドミノ探しのリーダー的存在となる真壁に瀬戸康文さん。

事件を調査する保険調査員横道に勝村さん。

柄本さんの舞台を初めて観させていただきました。

良い感じで身体の力がぬけてて自然でこの方は映像であろうと生で客席の前であろうと同じに芝居ができる方なのだと思いました。

勝村さんは「メルシーおもてなし」でとても弾けてチャーミングで絶対舞台の方が良い方だと思いました。

今回は一番年長で他の人と利害関係のない第三者。

飄々としてちゃんと仕事してるのかな?と疑っちゃいましたが一番冷静にこの様子を見ているという重要な役です。

解決法がないどうしようもない諦めねばならないことが解決できるとしたら人は法スレスレのことでも何でもしてしまうのか。

人の弱さ脆さが出てしまう。

あるがままを受け入れられないのか。

ドミノという人たちは名前は違うけれどいろんな形で私たちの前に現れていたと思います。

普通とは違う人が生きにくい世界なのだなぁと。

でも普通って何なのでしょうね。



兵庫県立芸術文化センターが大楽なのでカーテンコールで紙吹雪が私の鞄の中に入ってました。



カーテンコールで皆さん総立ち立ったのですが最後に瀬戸さんがにこやかに「皆さんどうぞお座りください本日は~~。」とご挨拶されまして「お座り下さい」って言われたのは初めてだわと。

出演者の皆様のなごやかな感じが良いチームだったのだなと。

また同じメンバーではないかもしれませんがまた兵庫にこのメンバーのどなたかを観れるならまた行きたいと思っております。

リチャード三世 森ノ宮ピロティホール

2017-11-05 22:55:39 | 佐々木蔵之介さん
これが私のリチャード三世最後です。

もう一回大阪で観たかった~~と思ったのですが今回は東京で観れたしと。

二回目となりますといきなりパンチくらったオープニングもカッコイイと思えてリチャードさんがどこにいるかも背中で見つけられて余裕ありました。

この斬新な演出はやっぱりプルカレーテさんならではなのでしょうか。

ちょっとよい子の皆は危ないから真似しちゃいけませんみたいな演出もありまして。

普通はこんなことさせないなあ~~クレーム来そうだわ~と。

日本の方の演出のハムレットを観ました。

それは本のとおりに忠実なシェイクスピアの世界を表現していました。

海外の演出だとシェイクスピアを現代風にされるのかなあと。

古典としての型を崩さずにアレンジを加える。

日本でも古典芸能で型を崩さなければ案外OKという懐の深さがあります。

そういうふうに観ればこれはシェイクスピアなのだろう思います。

プルカレーテさんのルーマニアは民主主義になる前にリチャード三世のように独裁されていて民衆がそれを倒して今に至っています。

日本でそのニュースを観るまではそんなに情報は入ってこずにその人が権力の座から引きずり降ろされてから実は政府に反するものは迫害を受けていたのだと後からポロポロと出てきました。

外に向けてそんな情報は出しませんものね。

リチャード三世の原作を読まなくてもプレカレーテさんがルーマニアの人だと知ったらある国が独裁者によって歯向かったものは殺されていったとわかりやすいです。

そんなリチャード三世、最後までワルで突っ走っていきました。

独裁者というのはまあ人を踏み台にし、命まで奪うのですからそんなカッコいいものではありませんが、あくまでもカッコ良く、時には道化てみたりといろんな顔を見せてくれますそしてどんな最後が待っているのか。

誰もいなくなったところは国と呼べるのか?

そんな国に王は必要なのか?

リチャードさんの圧巻だなあと思ったのはあの手この手、汚い手あらゆるものを使って王座を手に入れようとします。

その王座が自分に来た。

すぐにすわらずにその王座という母の胎内に戻り新しく王として生まれようとする。
リチャード三世はただの悪ではなく、王座を純粋に欲しがっていたのだなあと。

そのあの手この手で妻にした自分が殺したエドワードの妻だったアン。

とおるさんがキレイすぎてリチャード三世がアンを口説くシーンがほぼ全員男性ばっかりなのになんかドキドキしてしまうぐらい艶めかしい。

自分の兄の妻であるエリザベスに言い寄るところもいかにも貞淑なエリザベスがちょっと傾きそうになるのはリチャードさんがそばで耳に心地よくささやかれたら傾いちゃうなあ~~。
蔵之介さんの声が良いというのもありますが。

あるときは道化で人の心に取り入り、またあるときは怪異な容貌で人を恐怖で支配し、あるときは甘い言葉で人を陥れる。

リチャード三世の番宣でシューイチに出演されたときにコメンテーターの名越先生が蔵之介さんを消しゴムのような人とおっしゃいました。

前の役を消しゴムのように消してしまって引きずらない何者にでもなれる人。

リチャードさんも人によって人格を消して違う人格になって人をだましてしまうようなところがあったかなあと。

最初に観た時よりも次に観た時は前回以上のものを見せてくれる蔵之介さん。

東京で拝見したときより痩せていたようなそれだけ体力を消耗するのでしょうね。

共演者の皆様毎日何かのドラマで観る俳優さんたちで歌までは聞いたことがなかったのですが、皆様歌がお上手でした。

もしかしてオーディションでそれも選考基準だった?

ヘイスティングス卿の八十田さんいい声でした。

そして蔵之介さんもです。^^

終わったあとのカーテンコール5回は何度も出てきていただいて申し訳ないなあと思いつつも何度もきれいなお辞儀をされる蔵之介さんにこちらこそ素晴らしいものを見せていただいてありがとうございますと感謝しております。









桂よね吉独演会(2)

2017-11-05 00:05:21 | 落語
いよいよ「幸助餅」。
これは昔(何年前かは聞かないでください(^^;)土曜日のお昼にテレビで放送されていた松竹新喜劇でよく観ました。

同じような噺で「文七元結」がありますがこちらは江戸っ子の気っぷの良さとやせ我慢が上方にはちょっとピンとこないところもありまして「幸助餅」の方がしっくりくるような感じがします。

この噺、別の意味で私に ズシッときたのです。
餅米問屋の大黒屋幸助。

人柄も良いのですが欠点というのが相撲に入れあげてること。

なんだそれくらいと思いますよね?

お相撲さんをひいきにしてご飯食べさせたり、着物やなんやかやと買ってあげたりするととんでもないお金が飛んでいくのです。

現在でもお食事1回で100万は飛んでいくそうです。
まあ良く食べるしグルメですものね。

場所の間は商売そっちのけであったであろうし身上潰れるのはごく当たり前のこと。

そんな幸助さんに健気な妹小梅さんが自ら郭に自分を借金のかたにしてお金をこしらえます。
幸助さんは心を入れ換え相撲とキッパリ縁を切ると約束するのですが。

そこで出会ったのが自分が弟のように可愛がっている関取「雷」。

強そうな四股名ですがまだ横綱という最高位がない江戸時代に大関昇進したと凱旋してきたのです。

我が事のように喜んだ幸助さんは妹の作ってくれたお金をあげてしまいます。
フッと我に返って雷にお金を返してほしいと頼むのですが雷はガンとして返さず冷たい仕打ちをします。

このときの雷のふてぶてしさが上手ければ上手いほど後で効いてくるのです。
江戸っ子はあげたお金を返せとは絶対言いませんよね。

上方だからこそさっきのお金返してと言えるのだと思います。
そのへんがしっくりきたのと幸助さんの道楽は自分のことだけではなく、一人の大関を生んだのですから活きたお金を使うところもうんうんわかると。

幸助さんがミジメ~になればなるほど後の噺が盛り上がるのでこの噺を聞くのは2回目ですが最初の時より雷のふてぶてしさが上手く出てたと思いました。

このあとは松竹新喜劇ですから笑いと人情話でジ~~~ンとさせられます。

私がズシッときたのは自分がファンの人には限度がありますが使っちゃうなぁ~~。
幸助さんの気持ちわからなくないなぁ~~と思ったのです。
まあ身上潰れるほどではないですが。f(^^;

12月には京都でも独演会をされます。

「たち切れ」というお噺です。

よね吉さんの「たち切れ」聞いてみたいのです。