昔々の話です
京都は百万遍の
通りに面して
「琥珀」という
喫茶店がありました。
ある晩
夜を徹して
ベートーベン交響曲
全曲通して
やるということが
ありました。
二階のその部屋は
学生たちでいっぱいで
私はすみっこにひっそり
すわっておりました。
ベートーベン全曲・・・
ついに
第九まできました。
「合唱」の直前になって
私はふっと店を出たのです
ちょうど
夜明けの薄明かりが
百万遍を
ただよっていました。
私は大文字山の
いつもの道を登り
そこから山を越え
琵琶湖のほとりまで
歩いたのでした。
わけもなく
泣きながら。
19歳のあの年は
哀しいものですね。
あの夜と
夜明けの思い出
それは
琥珀の
たった一杯の
コーヒーで
始まったこと
なのでした。
京都は百万遍の
通りに面して
「琥珀」という
喫茶店がありました。
ある晩
夜を徹して
ベートーベン交響曲
全曲通して
やるということが
ありました。
二階のその部屋は
学生たちでいっぱいで
私はすみっこにひっそり
すわっておりました。
ベートーベン全曲・・・
ついに
第九まできました。
「合唱」の直前になって
私はふっと店を出たのです
ちょうど
夜明けの薄明かりが
百万遍を
ただよっていました。
私は大文字山の
いつもの道を登り
そこから山を越え
琵琶湖のほとりまで
歩いたのでした。
わけもなく
泣きながら。
19歳のあの年は
哀しいものですね。
あの夜と
夜明けの思い出
それは
琥珀の
たった一杯の
コーヒーで
始まったこと
なのでした。