人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

赤い月

2017年02月13日 | 読書

なかにし礼「赤い月」を読んだ

1日じゅう泣いた日

前作の自伝に肉付けされたもの

と言ってしまうのは簡単だけれど

なんという小説

というより

なんというドキュメントだ!

母をモデルにしていながら

「女」を描いたと

言ってしまうのは簡単だけれど

「満州」「国家」そして「日本人」

慟哭の記録。

巻末の膨大な「参考文献」もさることながら

「氷室」という実在らしい人物の凄さは

あの時代にのみ出現した魂の英雄・・・

すべてが終わりに近づいて

北鎌倉の東慶寺で会う

運命の人々のシーン、

白髪の老紳士となった氷室の姿に

またまた慟哭と感動・・・

満州の軍隊はみな

棄民して逃亡したのだと思っていたけれど

命を捨てて守ってくれた部隊もあった・・・

のですね・・・

シャンソンの訳者から

こんなものを書く作家になった

なかにし礼氏に

今更ながらため息・・・