なかにし礼「赤い月」を読んだ
1日じゅう泣いた日
前作の自伝に肉付けされたもの
と言ってしまうのは簡単だけれど
なんという小説
というより
なんというドキュメントだ!
母をモデルにしていながら
「女」を描いたと
言ってしまうのは簡単だけれど
「満州」「国家」そして「日本人」
の
慟哭の記録。
巻末の膨大な「参考文献」もさることながら
「氷室」という実在らしい人物の凄さは
あの時代にのみ出現した魂の英雄・・・
すべてが終わりに近づいて
北鎌倉の東慶寺で会う
運命の人々のシーン、
白髪の老紳士となった氷室の姿に
またまた慟哭と感動・・・
満州の軍隊はみな
棄民して逃亡したのだと思っていたけれど
命を捨てて守ってくれた部隊もあった・・・
のですね・・・
シャンソンの訳者から
こんなものを書く作家になった
なかにし礼氏に
今更ながらため息・・・