夜勤している

街角の赤い函には消火器の他には何を詰めたのだろう










「魔の山」の冒頭に
ハンスの祖父が亡くなる場面で
年老いて弱った祖父は本来の祖父ではなく
死に装束に身を包んだ棺の中の祖父が本来の祖父の姿である
と主人公が述べている部分がある

死というものの厳かな面
死が人の尊厳を復活させうるということ
が描かれている







さっきひとり儚くなった
ストレッチャーに移した身体は
まだあたたかくやわらかかった
献花したとき
拝見した顔は
おだやかで
いままでかかわってきた際に見ていた
どんな顔とも違った
苦しみからときはなたれた寝顔かな
亡くなるまぎわ
大勢の親族が
夜中にもかかわらず駆けつけてくれていた




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