北岳のことを書く前に
水晶岳のけりをつけておかないと
双六岳で朝食のとき
小屋番さんから天気についてのアナウンス
台風が近づいていて
午後から荒れる
沢をわたる道は通行止めになるかもしれない
明日は動けないだろうから本日中の下山を進める
とのこと
まあもともと今日は下山の予定だったので
特に問題はなかった
朝食後
玄関で写真を撮ってから
新穂高へ向けて下山開始
うっすらと雲を感じるものの
朝はまだまだ好天だった
なん組かのパーティーと後になり先になり
ほどなくして鏡平に
なにか物足りない
前回来たのが紅葉のシーズンだったので
緑だけの景観がちょっとさびしかった
コーヒーを飲み一休みする
小屋は改築中?
でトイレが遠回りになっていた
鏡池ではザックを下ろさずに写真だけ撮った
午前中は逆光になるので槍ヶ岳を背にすると
顔が暗くなるのだ
熊とのニアミス
あとはひたすら下山
熊の踊場を過ぎ
シシウドヶ原のベンチで少しやすんでいたところ
少し下った登山道のあたりでガサガサッと音がした
人間くらいの大きさのものが藪のなかを通っているような音
「熊かな?」
と冗談で相方に言ってたら
先におりていた男性の登山者が慌てたようすで戻ってきて
「登山道のすぐ脇に熊がいた」と言った
熊鈴をつけてたけど
熊がなにかを食べているところで
熊は夢中になっていると人間の接近する音に気づかないのだとか
もうやんなっちゃうよな、よく熊に遭遇するんだ
と言っていた
まさかの熊とのニアミス
それもけっこう新穂高の方に下ってきていたので
ちょっとびっくりした
今まで鹿や猿、カモシカと遭遇したことはあったが
熊はまだない
まあ普通の熊は人間が近づけば自分から逃げるはずなので
熊鈴を鳴らしつつ
相方と大声でしりとりをしながら残りの道を下った
そうしたらば
またびっくりすることが
登ってくる他の登山者たちとすれ違うため
足を止めていたところ
藪の中からオコジョ?
小さくて茶色のリスではない獣が
チョロチョロと走り出してきたのだ
それは逃げることなく
私の足元に来るとしばらく動かずにいた
こんな事があるのだろうか
と半ば感動して思わず呟いていた
これは誰かが餌あげてるんだな
と登山者の一人が言った
なるほどなあ
とにかくオコジョは可愛らしかった
そこからは無事に下った
午後から天気が悪くなるというのに
登ってくる人がなん組もあった
みんな天気予報見てないのかな
まあ自分も去年、台風の近づくなか雲の平に登ったけど
熊のことは言わなかった
いたずらに怖がらせてもかわいそうだと思ったので
沢を渡り
登山道は自動車の走れる林道へとかわった
人間のすむ世界に近づいたわけだ
ここからもまだ長いけど
オッケー夫婦のことを思いだした
わさび平小屋で休憩
ネクターを飲んでおうどんを食べた
新穂高へ下山
時間は予定通りくらい
早すぎて入ろうと思っていたホテルの立ち寄り湯が受付前だったので
少しくだって別なお風呂へ
山から下りたらやっぱり温泉だ
平湯までバスで移動し平湯に泊まった
翌日は雨
高速バスで一路新宿へ
まだ夏の東京を電車を乗り継いで家に帰った
一応、おわり