葬儀のこれから⑱より
葬儀の収支を決める最たるものが香典となる。葬儀社はもちろん香典返しをそろえていてその選択を乞う。ふつうは香典返しを選択する場合その場での返礼のみで済ますのはこのあたりでは5千円程度のもの。1万円以上の香典となると親戚筋になってくるわけで、その場合は香典返しは別途考えるようになる。これを半返しといって忠実に半分程度と意識すると葬儀は大赤字となる。この手の質問がウェブ上にも氾濫しているが、高額な香典をする親戚筋に対しては半返しは相当しないだろう。半返しを意識するのなら結局相場を下げれば良いことになる。
いずれにしてもいわゆる会葬者に対するその場での香典返しの一般的な相場は、このあたりでは千円程度のものらしい。ちなみに今回の葬儀社のカタログにある品の最低額は税込み1050円であった。そして問題なのは会葬者の香典である。兄の会社筋の最低額は2000円。これは稀であって多くは3000円、あるいは5000円というところだろうか。香典は出しても会葬しない人が大勢いる。したがって参列しなかった人たちに対しては香典対香典返しという図式となる。葬儀のこれから⑰で触れたように会葬者には昼食を出すことから参列した人にはさらに昼食代が加算される。失礼な話だがおそらく2000円の香典で会葬すればほぼ一人当たりに要する費用はいってこい。このあたりでは義理意識の強い香典なら3000円が妥当な線といえる。
ところがわたしの会社筋はかつての生活改善が活かされているのか、お互い様というやつで1000円という香典がとても多い。香典返しを考えた際にその選択肢はない。ようは赤字前提で香典返しをするのか、それとも香典返しをしないのか、という選択になる。自ら出した1000円香典でも香典返しをいただくのがそのほとんどという実態からすれば、自らもらっているのだからお互い様で自分も香典返しをする、という選択が妥当だろう。もちろん受付に会社用の窓口を設ければ香典返しをするしないをはっきり分けられるが、そもそも自らが1000円香典でお返しをもらっていることからすればその選択はないだろう。さらに受付を設ければそれなりに受付をしてもらう人たちにも面倒をかける。もっと言うとわたしは喪主ではなく、そもそも香典の数は兄とは比較にならない。ということでその赤字は自ら埋める必要があることを前提で香典返しをしたわけである。当事者として葬儀に関わってつくづく思うのは、「皆がするからわたしも」という香典はしないことだ。すればするほど相手は損失を被るというわけで、迷惑の押し付けにもなる。もちろんここにもお互い様という意識があれば解消できるが、そこまでして義理をする時代ではないだろう。
続く
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