テルミンとJAZZ
テルミンやマトリョミンの話。私、こちろうこと相田康一郎のプロフィールは左メニューバーのCATEGORYを。
 



写真がもっと好きになる。 菅原一剛の写真ワークショップ。
菅原 一剛
ソフトバンククリエイティブ

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人間が耳で聞こえる音域で高いほうはだいたい16キロヘルツだと医学的な研究成果が出ている。そこでCDは高いほうは20キロヘルツもあれば十分だとしてその上はばっさりと切り落とされている。
しかし、耳では聞こえなくても体で感じるものがあるようで、20キロヘルツより上の周波数の成分を入れたものとそうでないものは同じ音源(たとえば楽器の生演奏を録音したもので20キロヘルツ以上の音域を切り落としたものとそうでないもの)を流してもその違いが聞き取れるらしい。これは加齢により、若い人よりさらに高音域が聞き取りにくくなっている老人であってもその違いを聴き分けられるほどだそうである。
最近は業界がそれに気づいて(か、気づいたふりしてもうけるためか)、高い周波数帯域も収録できるSACDとかが出ており、スピーカーの再生帯域もそれに合わせて拡大されたりしている。

で、この本を読んで、写真にもそういうことがあるのだ、とあらためて気付かされた。
桜のあの「きらきらした感じ」は桜の花が盛大に紫外線を発しているからだそうだ。花粉を運ぶ虫にはよく見えるらしい。しかし、フィルムもデジカメの撮像素子も可視光域にしか対応していないので、当然、紫外線などは写しこめないし、仮に写しても、そもそも人間の目には見えない。しかし実物の桜と写真に撮られた桜の雰囲気の違いは、そういう目に見えないものを体で感じている部分があるようなのだ。
この本ではいろんな章建てで、自分がものや人を見て「感じたこと」を写真に写しこもう、と主張しているのだが、そのアプローチには類書にない説得力を感じる。感じたことを見る人に伝わるように写真に写すには少し工夫が必要だったりするが、あまり技術的なことの説明に走らず、そういう説明が欲しい向きにはものたりないほどあっさりと解説してもらえる。
写真の撮り方について、細かい決まり事などを習得するつもりはないけれど、「もう少しだけいい写真を撮ってみたい」というようなゆるーい考えの持ち主におすすめである。

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