Fさんの百か日のご法事のご縁。
読経しながら、ふっと思い出したシーンが‥‥
それは子どもたちがまだ小さい頃、しまなみ海道をサイクリングした時のエピソードです。
幼い息子の補助輪付きの自転車とご院さんの自転車をローブで繋ぎ、来島海峡大橋まで上がる坂道はご院さんが前から引っ張って上がり、橋から島へ降りる時には、ご院さんが後ろからブレーキ代わりに引っ張るという工夫をしました。
息子は「上り坂はパパに引っ張ってもらったけど、下り坂はボクがパパを引っ張ってあげた!」と誇らしげに言います。
その様子が可笑しくて、可愛くて、今でもふっと思い出しては笑えるのですが‥
今日、おつとめしながら思ったんです。
今、世界中の人々が一斉に下り坂を駆け下りているような気がしてなりません。
大地を踏み締めて感触を味わうこともなく
足元も心許なく
周りの景色も目に入らず
自然の風も感じずに
手を繋ぐこともできず
いつ躓くか心配な
そんな下り坂を駆け下りて行ってるような気がします。
私もその中のひとりです。
でもね。
阿弥陀さまはしっかりと私を繋いでいてくださるとお聞かせいただきます。
同じ速度で。
決して離さず。
そう思うと、おつとめしながら涙が溢れてきました。
そのしまなみ海道サイクリングの様子を撮ったホームビデオには、橋の上で段差につまずき大泣きしている息子と、泣いている息子のそばでなだめて励ましているパパの声と、先を走っていた私が後戻りして息子のところに行く姿と、先の方で自転車を停めて弟を待つ姉の姿が映っています。
そのシーンも思い出しながら、
今、泣いているのは私だ、とも思いました。
私を取り囲んで、多くの人々や仏さま方々が居てくださる。
阿弥陀経の六方段の仏さま方々のお名前を読みながら
なんともあったかいものを感じました。
なんまんだぶつ‥