事務所の机の整理をしとったら
1通の便せんとCDが出てきた。
もう10年以上前に別れた元カノからの手紙じゃ。
それを読み直して涙が溢れて止まらんかったよ。
こんなワシをそこまで愛してくれとった事への感謝。
当時から愛して貰えとる事は充分に分かっていた。
ワシもそれに精一杯応えてきたつもりじゃ。
今、振り返れば(男は振り返るのよ、女々しいじゃろ?)
彼女は愛する娘二人よりもワシの世話をしてくれた。
健常者のワシは世話ンあど要らんハズじゃのに
彼女はホンマに尽くしてくれた。
彼女の娘さん二人に詫びねばならんと思う。
ワシが頼んだ訳じゃないけど
ワシの事を愛するあまり、家族を置いて
ワシに尽くしてくれた事への
うしろめたさは大いに感じる。
まだ小学生じゃった二人の娘さんは
母親を必要としとったに違いない。
でもワシが今日流した涙は
その二人の娘さんへの悔悟の想いではなく
彼女のワシに対する『愛』に対してじゃった。
便せんの最後に
『大好きでした』の文字
彼女も解っておったが、ワシには妻が子供がいた。
それ以上のことはやりたくてもしてやれんかった。
申し訳ない気持ちでいっぱいじゃ。
CDには一緒に行った京都と姫路城の写真があった。
何かに封印してワシが死んだら棺の中に入れて貰おう。
女房殿には申し訳なかったが、
ワシにはもう一人愛した女がいた。