たったこの間の事じゃのに、
今は受け入れて貰えんことがえっとある。
ワシらが子供の頃、
近所の染物屋の爺っつぁんは、
ふんどし一つで外を
ほっつき歩きよりんさった。
しかも大きな屁を連続してこきながら。
ワシはすぐ家に帰って、母親に
『Tの爺さんが歩きながら大きな屁をいっぱいこいた』
と報告した。
子供が道路で遊ぶんは当たり前じゃったし、
そこら中に立ちションベンするのも当たり前、
酔っ払いが道路を右から左へと
よろけながら向かって来るのも毎夕見た。
ゴミを裏庭で焚火で燃やすのも当然。
家の前の道を牛や馬やアヒルを
連れたおっさんが田んぼに行くのも
珍しい事じゃなかった。
ついこないだの事じゃけぇ。
あれから、なんばかしも経っとらんのに、
今はそがーな光景、見ることがない。
くどいようじゃが、
こないだ見た風景じゃのに・・・。