三界萬霊等碑 盛光寺(園部町大河内)
南丹市園部町をひと筆で巡り…只今、園部町大河内に入っている…集落の高台に盛光寺(せいこうじ)曹洞宗が建つ。境内には二本の松があり、寺のシンボルとなっている。樹齢数百根は経つ老松は、寺とともに栄枯盛衰をくぐり抜けてきたのであろう…。その根元に中世から近世前期に造られたと言われている『三界萬霊碑』『層塔』を建っている。
境内薬医門の左横に二基が並ぶ。三界萬霊碑は高さ87㎝、横33㎝、厚さ20㎝、花崗岩で造られている。正面に『三界萬霊等』と彫られ、上部に月輪、下部には蓮華が彫られており、造った時期銘はない。長年の風雪で判読が困難。
推察域であるが江戸初期の作とみて…大きな誤りはない。
一般的には三界とは、一切衆生の生死輪廻する世界で、欲界・色界・無色界を指すと言われている。萬霊とはありとあらゆる精霊を指すので、これを回向することで有縁無縁の供養となる。
天正三年(1575)明智光秀は丹波平定に入る。地元の土豪波多野秀治(八上城主)が激しく抵抗する。戦いは一進一退を繰り返す。その戦いは5年に及び大河内も古戦場となり巻き込まれ、神社仏閣は焼かれ壊され、両軍の多くの命は大河内で露となっている。歴史を直視し仏教の教えから察すると、萬霊の霊魂を鎮めるために碑を建てたのであろう。現在は無住寺であるが、京都市東別院から法事があれば来られていると聞く…地元古老に聞く。
※明日は三界萬霊碑の横の″層塔″を紹介予定!