つい先日の夜の事である
父ちゃんはもう寝ていて、ボクと私は「ミステリーなんとか」という番組をみていた
「人体自然発火」とか「成長が止まった女性」などを紹介していた
番組改編のこの時期、この手の特番は多い
その中で「文字を逆さまにしないと読めない女性」が出ていた
読み書きもパソコンも逆さまにしないと認識できないという、脳の障害のようだった
ボクは医師の解説を聞いて少し混乱したようなので、私が拙い知識で補足した
「目で見てるんじゃないんだよ。目で情報を集めて脳が見てるんだよ。脳は個性的だから、ボクと母ちゃんでも、案外違うものを見ているのかもしれないんだよ。他人が見ているものを見ることはできないでしょう」
すると、ボクは突然 タイトルのようなことを言い出した
以下、忠実に会話を再現
私「エッ・・・マヂデ・・・」
ボク「うん なんか見えるんだよ」
私「じゃあ 母ちゃんのオーラ見て」 このときは冗談気分だった
ボクは3,40秒母をガン見した
この年頃の男の子が、母をガン見すること自体不自然に感じた
私もボクをガン見したが、不思議なことに目線は一度も会わなかった
ボク「なんか・・・白ちゅうか、透明ちゅうか 体全体に見える
あと、頭もここいらへんに 白い塊がある。メガネしてない方がよく見えるん だ。うららんも同じように見える」
私はまだ冗談気分で
「その塊はいいことなの?悪いことなの?」
ボク「わからない」
そこで、常務のお通夜に行った時のことを思い出す
ボクは斎場に入って2度「頭が痛い」と言った
ボクは毎年皆勤賞を貰う、健康な子だが、時々頭痛を訴える
部活後脱水気味で帰宅したとき
強い香料を嗅いだときで、シックハウスの兆候がある
斎場に入ってすぐ、「頭が痛い」と言ったので
スポーツドリンクを飲ませてみたら、まもなく元気になった
2度目はお通夜が始まったときで、お香の匂いが原因だと思った私は
お焼香を済ませた後、すぐに外の空気を吸ってくるように言った
10分ほどでボクは戻ってきた
幼児のころ発育の悪かったボクは5歳まで話すことができず、ずいぶん心配した。
今でも、話すことに不自由している。ボクの言葉は変なのでカッコで解説する。
私「お通夜の時なんか見た?」
ボク
「うん 花とか写真とあったとこ(祭壇)の上らへんに換気扇みたいなのあったじゃん(エアコンだと思うが普通そういう所はみない)あの辺に紫ぽい、光のようなものがあった。で。それ見てたら、お坊さんが来て、なんか言い始めたじゃん。(お経)そしたら光が強く大きくなって、頭が痛くなった」
私 「それは常務さん?」
ボク「わかんないよ そんなこと」
私「あの後、外の空気吸いに行ったよね。もう真っ暗だったけどなんか見た?」
ボク
「うん。あそこお墓あるじゃん」
私
「知らない。あったけ。市営斎場にお墓ってないと思う」後で調べたらあった
ボク
「あったんだよ。出て右側の所に。そこで2,3個みた。人みたいなの」
私
「人の形してるの?」
ボク
「う~ん。してるちゃしてるけど、形になっていないというか・・・どう言ったらわ かんない」
私
「ボク中二病じゃないよね」
中二病の説明は省きます
ボク
「なわけねーじゃん」ちょっと怒る
私
「見ようと思えば見えるの?突然見えるの?」
ボク
「見ようと思って見るときと、思わなくても見える時がある。○○先生(担任)は最 悪だ。時々緑色の光が張り付いてる感じで・・・・」
ここで、ボクは立ち上がり、ボクと先生の立位置を確認して
ボク
「頭と胴体あるじゃん。それが半分ずれた感じで、人の形をした光があって、顔がみ えるときもある。背後霊かなぁ」
私
「先生いつも緑の光なの?」
ボク
「時々しか見えないけどいつも緑」
私
「怖くないの」
ボク
「怖いと思ったことないんだけど、墓とか、前を通るだけで人の気配がしていやなんだ」
私
「いつから見えるようになったの?」
ボク
「母ちゃんとか先生に怒られる時って、ずっと相手の顔を見ていなくちゃいけないじゃん。ずっと相手の顔をみていたら、なんか周りになんかあると気が付いたんだ」
私
「本当に怖い思いとか、嫌な思いしてないの?」
ボク
「してない。見えるだけで、何も感じないし、意味もわからないんだ」
翌晩、ボクが塾に行っている間に、父ちゃんに報告した。父ちゃんもボクと同じ年ごろに、プリズムの光のようなものを見ていた。でも年食ったら見えなくなったそうだ。
ボクが帰宅すると、父ちゃんが聞いた
「父ちゃんの右肩になんかいないか?」
ガン見するボク
「疲れてるからよくわかんないけど、なんかいる。でも隠れてる。」
母ちゃん困惑するのみ
ボクの言葉をもう少し詳しくすると
光みたいだけど、光じゃない
色みたいだけど、色じゃないんだ
ボクが嘘をついているのか、思い込みが激しいのかは不明で
母としては、嘘ではないような気がします