何かがおかしい…!?
鼻水が止まらず息をするのもやっとという状態。
それになにより右目が気がかりだ。
マブタは上下くっついてしまっている。 濡れたティッシュでそっと拭いてマブタをあけてみると眼球は異様なほど赤く腫れ白濁し、横から見ればわかるほど目は飛び出していた。
マブタの内側の皮膚も腫れてめくれあげたように右目の半分を覆っていた。
『 この子は治らないかもしれない… 』
瞳を見た瞬間そう思った。
『 ライフ 』が家に来た翌日、かかりつけの動物病院へ連れて行った。
風邪だと思われた鼻水も風邪ではなく猫ウイルスによるものと判明。
それにより、幼く抵抗力の無かったライフの兄弟達は皆死んでしまったのだ。
このウイルスは厄介で抵抗力が無くなれば、また顔を出すという完治しないものなのだそうだ。
病院の先生の話によれば『 この子もあと1週間遅ければ確実に死んでいただろう 』 と…
気になっていた右目は
『 この子の目はたぶんもう見えていないと思いますよ。これからの回復は見込めないと思います 』
やはり…。 無理かもしれないと感じつつ、もしかしたらという期待もあっただけに先生の言葉は重かった。
家に戻って来てから少しでも良くなるようにと毎日欠かさず目薬をさした。
もしかしたら見えるようになるかもしれない。 少しでも見えるようになればと。
諦めきれずネットで【 眼科専門の動物病院 】を探した。
そこでの話は
先生:『 角膜移植により目は見えるようになりますよ 』
希望が見えたように思えたがそこには大きな問題が…
『 別の猫の角膜を移植する 』 ということ。
別の猫を犠牲にしてまで治してなんになる?
それがたとえ死んだ猫の角膜であってもその子に傷をつけてしまう。 それで目が見えるようになっても喜べるのか?
結果、出した答えは家族全員NO!!
右目が見えなくたって左目があるじゃないか!! 両目を失った猫だっているのに片目があるだけありがたいじゃないか!! 生きていけるじゃないか!!
こうして、右目を失った独眼竜『 ライフ 』の生活がはじまった。