「運命」と呼ばれるいっさいのものを活用することである。
大抵の人は運命の女神と賭けごとをやり、女神の紡ぎ車の廻したかた一つで、まるまる儲け、まるまる損をする。
しかしあなたはこれらの得も不当としてこれを斥け、神の大法官である「原因結果」と取り引きをすることである。
「神意」によって働き獲得することだ。
そうすれば、あなたはすでに「僥倖」(おもいがけない)の車輪を括り上げているのであって、それからは僥倖(おもいがけない)の回転する恐れを抜きにして生活できる。
政治上の勝利、地代の騰貴、病気の回復、旅にでた帰郷、その他何か好都合な出来ごとがあれば意気は上がり、良い日が自分を待ち構えているように人は思うものだ。
それを信じてはならない。自分以外に自分に平和をもたらすものはない。節操の勝利以外に自分に平和をもたらすものはない。
エマソン 精神について 「自己信頼より」