勝率が完全に50%である「丁半」というきわめてシンプルなゲームをつかって、「賭けかた」に焦点をしぼって考えてきた。
これまで「勝ちにげ」も「倍プッシュ」も、数学的には無意味であるということが分かった。
ところで、先に「ゲームの回数が増えると期待値は下がる」というようなことを言ったが、今度はこれについて考えてみよう。
【期待値と控除率】
たとえば丁半で10点をもち、10点を賭けるとする。勝てば20点になって帰ってくる。負ければ0点になる。この場合の期待値を100%と考える。
プレイヤーが勝った場合、胴元に寺を10%を支払わなければならないとする。
勝てば勝ち分10点から10%の1点を引かれ、19点になって帰ってくる。負ければ0点。したがって期待値は95%となるわけだ。
これについて「十分なサンプル採集」をしてみよう。このようなプログラムを組んでみた。
結果はこのようになる。
4000回を4つに分けてやって、それぞれ1051点、823点、196点、196点ずつ負けた。ゲーム自体で勝ち越しても、点数はマイナスになる。
単位を「点」としたが「万円」のほうが分かりやすかっただろうか。
プレイヤー個人に関していえば、やればやるほど損をする。胴元からすれば、人が集まれば集まるほど儲かる。
勝率50%、控除率5%のギャンブルでこれなのだから、日本の競馬場の控除率25%、宝くじの控除率45%なんてなおのこと勝てるわけがない。前者の場合は「馬を養うため」、後者の場合は「夢を買っている」と思ってやったほうが良い。