問題点:処理水の海洋放出は本当に安全なのか?
政府は福島の処理水の始末について、一応漁業関係者と話し合いをした形をとって翌日海洋放出した。これについて国内からは批判が相次ぎ、海外からは日本産食材の輸入禁止という厳しい処置が突き付けられている。さあ、岸田首相の判断は如何に?
とまあ、これが現在の大まかな状況だがまずこうなってしまった政府の「問題先送り体質とアイディア無しの無策・解決力ゼロ」という、日本を引っ張っていくべきリーダーシップの「無さ」について書いてみよう。
(1)放出の是非
そもそも福島で地中に残ったままのデブリを「冷やし続けなければならない」というのが問題の根本なのだ。核物質を取り出して保管場所なり廃棄場所に移動すれば「何の問題も無く」とっくに解決している筈である。ところが専門家が寄ってたかって「12年」も奮闘努力しているにも関わらず、未だに「ごみ処理方法」について何の解決策も見出だせないまま冷却水だけが溜まり続けて限界に達して来たと言うではないか。バッカじゃねーの?(最大級のダメ出し!)。
こんなだから原発なんて出来もしない装置に手をだすべきじゃなかったのだ!、今すぐ国内の全原発を廃炉しろ!・・・と息巻く反原発論者の怒りが目に見える。勿論私も原発反対だ。だが総論は置いていて、いま処理水で問題になっている「トリチウム」という物質については、純粋に「科学的な方法」で評価・判断すべきであろう。詳しい事を知りもしないで「とにかく放出反対」というのでは、原発推進派とやってることは何ら変わらないと思わざるを得ない。大事なことは「科学的な認識と判断」である。道義と感情で処理する問題では無いのだ。
そこで先ず「トリチウム」とはどういうものか?を勉強する。
こないだ23日の NEWSWEEK の記事でジェス・トムソンという人がトリチウムについて説明しているので、これを引用しながら科学的な理解を深めていくことにしよう(万一間違いがあるといけないので、正確な事は元記事を参照して下さい)。
で、掻い摘んで説明すると「ⅠAEA国際原子力機関」が2年間調査・検証して7月に発表した報告書にある通り、現在の科学的な判断では、トリチウム入りの処理水を海に流しても「全く問題ない」のである!。
豪カーディン大学准教授・物理学ナイジェル・マークスの言う所によると(これが良く知らない大学だから胡散臭いのだけどまあ良しとしよう)、WHOが定める海洋放出基準は1リットル当たりトリチウム濃度が「10000ベクレル」以下とされていて、これに対して福島での放出計画値は「1500ベクレル(!)」と7分の1で、大幅に少ないレベルになっているのだ(しかし日本の環境放出の規制基準は60000ベクレルで、WHOの6倍も高いのは何故?。こういう所がイマイチ信用できないんだよねぇ・・・)。
しかも、現在太平洋には既に「8400グラム」の純粋なトリチウムが存在していて、福島でこれから1年間に放出されるトリチウムの総量は「何と0.06グラム」しか無いのである(あっれ〜!)。これじゃあ「人体に影響がある」と考える方が「どうかしてる」と思うじゃあーりませんか?、皆の衆!(いつまでこのギャグ出すつもりなん?)
実際のところ放射能を出す物質は地球上の「ほぼあらゆるもの」に含まれていて、トリチウムも勿論その中の一つだ。しかし太平洋全体に存在する放射能のなかでトリチウムの占める割合は「0.04%」に過ぎないと言う。つまり、太平洋にある放射能のうちの0.04%の中の「更に8400分の0.06(=3億5千万分の1)」という、気の遠くなるような「微量中の微量」のトリチウムをこれから太平洋に流したからと言って、「だから何なの?」という話なのだ(おおマイガッ!)。これがどうしてこんな大問題になってしまったかと言うと、ただもう「政府と専門家がアホ」だからとしか言いようがないのである。
要するに失敗した原因は、「最初の言動」にある。
つまり・・・・・・・・・
私の考えでは政府はフランスからアルプス(汚染水を処理する機械)を導入する段階で、国民やマスコミに向かって「ようやくこれで冷却水の問題を解決することが出来ました、皆さんご安心下さい!」とアナウンスすれば良かったのだ。ああ、時すでに遅し。
・・・・・・・・・
だいたい際限無く増え続ける冷却水をどうするか?は、当時から専門家の間で議論していた筈である。今ではすっかり忘れられているようだが発電所を「氷の壁」で取り囲み、それで地下水の流入を止めるなんて「とんでもない案」を考え付いて実行した脳天気な政府官僚もいたと私は記憶している(勿論、大金を叩いて作ってみた挙げ句、見るも無惨なぐらいに完全に失敗した。金返せ!)。
で、結局は「原発先進国」のフランスから機械を導入して、冷却水から放射能物質を取り除く事にして「やれやれ」と一息ついた訳である。
本当はこの時「フランスありがとう!」と政府こぞって万歳三唱で終わっておけば良かったのだ。処理水は海に流して解決。後はデブリを取り出して福島を元の状態に戻すだけ、というこれ以上ない幸せな話になる筈だった。これなら風評被害も問題なく収まっていただろう。
ところが政府関係者や専門家がどういうわけか口を合わせて、「トリチウムだけはどうしても取り除けないんです・・・残念ですが我々の力不足でした、ガックシ!」と、さも技術力が足りないように全国民の前で嘆いてみせたのである。バッカじゃないの?(全力のダメ出し!、これ2度目である)。
要するに放射能について科学的な知識を持たない国民に「これまた知識の全然無い政府役人」がよってたかって原発事故の後処理方法を「台無し」にしてしまった訳だ(南無阿弥陀仏!)
トリチウムをまるで「危険な放射能物質」であるかのように印象付けてしまったのが、そもそもの間違いである(合掌!)
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ではどうするのが正しい処理の仕方だったのか、私の考えを示しておこう。
① まずトリチウムは他の危険な放射能物質とは「異なり」、自然界にも普通に存在している「見つかっても気にする必要はない」ものだ、と科学的に例を挙げて説明すること(トリチウムの認識を改める)
② トリチウムは世界中の原発で海洋放出していても「今まで全く問題が無く、安全だと証明されている物質」であることを、各地の具体的なデータを示して説明すること(トリチウムの実態を周知させる)
③ 福島の冷却汚染水はアルプスで「危険な放射能物質を取り除いた後」、トリチウムを含んだ「安全なレベルの処理水」として、世界の原発で行っている方法に則って海洋放出する。つまり最初っから「トリチウムは除去対象に入っていない」事を説明すること(冷却水の処理方法の理解)
④ 福島で放出する処理水のトリチウム濃度は特に安全の上にさらに念を入れて安全を考慮し、「世界基準の更に7分の1」という殆ど検知出来ないレベルに「薄めて」から放出する(安全に関する取り組み)・・・これ意味あんの?。だって、どうせ海に放出した段階で薄まるじゃん?・・・これは私の個人的な意見です。
⑤ 放出後は福島沖の生態系に影響があるかどうかを実際に魚を採取してモニタリングし、誰もが確認出来るようにネットで公表する(透明性の確保)
以上である。これで処理水の問題は収束する。
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結論:アルプス導入時点でこのような発表を行って、目障りな「処理水貯蔵タンク」とか無意味なものを作って敷地一杯に貯め込んだりせずに、処理したそばから「どんどん放出してれば」今頃何の問題もなく解決済みになって話題にもならなかった筈なのだ。それをあろうことか、トリチウムだけまだ駄目なんですよねぇなどと「驚天動地のトンチンカン発言」を政府や専門家が言うもんだから大問題になって、「日本の食品は危ない」などという外交問題にまで発展してしまうという大失態を「自ら招いて」引き起こしてしまったのである(どうしようもないアホである!)う。要するに、トリチウムを除いて全部除去出来たんだから「大成功!」にすれば良かったのだ。それをさも除去出来なかったと結果が不完全なように勘違いした無知蒙昧な人々が、このような虚しい惨事を招いたという訳である。
今からでも遅くは無い。
この際政府は全国民・小学生に至るまで、放射能についての「科学的な知識」をもっとキチンと具体的・懇切丁寧に説明して、世界基準の「正しい理解」を共有するよう早急に修正すべきである。岸田首相は「IAEAが大丈夫と言ってる」から大丈夫なんだという考えをみたいだが、それじゃ本当に理解したことにはならないって事を「理解出来てない」と私は思う。誰かが言ってるから大丈夫という権威主義では、一国のリーダーという重責は担う事は出来ない。はっきり「自分の考え」を示してこそのリーダーである(これ、名言だと思うけど)。岸田くんは「そこんとこ」が弱いんだよねぇ。
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さて、安全性は立証出来た。しかし会合に臨んだ漁業関係者だか会長だかが言っていたように、「安全と安心は別物」である。彼らが心配している風評被害とは、言わば「ウンチから作った蒸留水が飲めるのか?」という問題と同じなのだ(尾籠な例えでスンマセン)。続きは次回に。
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