明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

英国の離脱は(アメリカ・EU・日本から自由になって)中国・ロシアと組む第一歩

2016-07-09 22:00:21 | ニュース
英国の離脱は、騙されたとか後悔しているとかスコットランド・ロンドンの分離とか再投票とか散々な状況だが、実は計算づくの戦略じゃないかと私は勘繰っている。田中宇の国際ニュースで詳しく書いているが、まさに英国ならやりかねない悪どい方法である。国民投票は大失敗だったと内外に強烈に印象付けた形だが、中国に擦り寄る戦略はAIIBにいの一番に賛同したのを見ても、前々からの一貫した作戦だ。EUや米国の手前、中国と協調する政策はなかなか簡単には実行できない。当然ロシアともNATOの関係でEUの他の国とは歩調を合わせる必要があった。しかし面倒なEUを離脱した英国は、自由に思い通りの戦略で動くことができる。おまけにアメリカの債権システムを守るためにQEやマイナス金利をやらざるを得ない日欧の中央銀行から距離を置いて、独自に中国・ロシアに合わせた方策にシフトすることが可能になったのである。

英国はしぶとい国である。ちょっと前はヘロヘロだったのに、アメリカを焚きつけて金融革命をやり、ロンドンを世界の中心にして返り咲いた。その金融が行き詰まってきたタイミングで、EU離脱を「国民投票という一見全くの自由意思の投票」で決めて見せた裏の裏は、英国恐るべしである。本音は絶対に表に出てこない。英国上層部の中に「どうやって生き延びるか」という戦略を立案する秘密の会議があるんじゃないだろうか。先の先を見通して数歩先に行く彼らの隠然たるテクニックは、日本などのとても及ぶところではない。これはアングロサクソン特有の政治感覚・覇権感覚なのだろう。日本人には何百年経っても追いつけない世界戦略の深謀遠慮は、大日本帝國外務大臣の松岡洋右が「不可解」と嘆いたように、日本のマスコミなんかの解説記事がイギリスはこれで終わったなどと書いているのと「全然違う目で世界を見ている」のである。

日本がこの激動の時に、「アベノミクスを止めるな」とか「戦争法案反対」とか「金にクリーンな都知事を選ぼう」とか言って選挙に大騒ぎしようというのだから、世界の流れの変化に乗っかっていくのは当分無理ではないだろうか。願わくは経済的なことばかりではなく、地政学的な政治力学の勉強もして欲しいものである。この点では、中国人の5000年の歴史が培った政治感覚は、日本人の遠く及ばない皮膚感覚のようなものとして彼らの血と骨に深く染み込んでいる。何しろ中国は紀元前◯千年から今までずっと「世界の中心」だったのである。この100年150年のみ、西洋の武器に負けただけ。近い将来はまた「世界の中心になる」と思っているし、動かし難い事実でもある。私は別に中国の肩を持つわけではないが、14億人もいるのである。逆立ちしたって日本が勝つわけはないじゃないか。そろそろ中国敵視をやめて、どうやって日本が生き延びるかを考える時が来たと思う(実はもう遅いかもしれない)。

英国はやはり先見の明がある。同じ島国として、日本も見習ってはどうだろか。何もイギリスはサッカーやテニスやラグビーの先輩国なんかではなく、もっと偉大な国なのである。ただ、本音が奥の奥に隠れているだけ、我々一般人にはわかりにくいが。

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