空観方程式

「色」と「空」の一体化によって可視化され、相互作用で共感・共鳴が生じ、新たなる思いや生命力が実体化される。

業の花びら

2023年04月01日 | 読書・TV感想
人間は誰でも多かれ少なかれ
業を背負って生きている。

賢治は嫁をとらぬという
業の花びらを
空いっぱいに投げ上げた。

没後90年特集 業の花びら
〜宮沢賢治 父と子の秘史〜
ドキュメンタリー/教養
2023年3月24日 NHKBSプレミアム


何が起きるかわからない人生、
どうして
このようになるのかわからない人生、
将来の不安を解消するために、

業の花びらという信仰により
受け入れ折り合うのか、
あるいは
現実とロマンという二項対立により
現れた観念・物語により納得するかだ。


古墳から出土する剣や鏡は
邪気を払うという観念が古来より
生まれて存在していたことを示す。
即ち死という現実と、
盾の防御性や鏡の神秘性とが一体化して
被葬者を邪悪なものから守る
「辟邪(へきじゃ)」の観念だ。


二項対立から新しい観念が生まれる。
夜が来るから朝が来る。
電子スピンのように人生の
回り舞台が回り続けるかぎり、
エネルギー保存則のように
良いことも悪いことも、姿を変えて
現れてくるのが自然の摂理だ。
そこから新たなストーリーが生まれる。


一方の仏教では
良いことも悪いことも
むくい、すなわち
業のはたらきによって生じる
と説く。
賢治は真理と現実世界のギャップ
の中で悶絶し、
そのギャップが生じる原理を
知ることで、業の花びらを
空に向かって投げ上げるしか
方法がなかった。

そして
どう向き合うべきかを考え、
現実とファンタジーの二項から
悲しみを乗り越え、
苦悩と折り合う方法を見つけた。

人間は本当に苦しい時に
「幸せとは何か」と問うものだ。

ファンタジー と現実との融合、
重ね合わせとは
「心に伝わるもの」が共鳴して調和し、
ポジテイブなものに変える
「色即是空」の部分である。
ファンタジー と現実との一体化であって、
野に咲く花がささやいているように感じ、
あたかも感謝しているように花を咲かせ、
ダイアモンドの様に輝く。そのような
「生の高揚」につながる。

内部にある喜びの感情に降り注ぎ、
強めていく。
美しい言葉が美しさを与え、
高貴な言葉が高尚にし、
強い言葉が力を与える。
生きているものは積極的なものであり、
過剰なエネルギーを生み出す物質空間
なのである。


ニーチェの「永劫回帰の思想」は、
「エネルギー保存の法則のもとで
万物が運動すると、
永遠に時間がたてば
また元の状態がやってくる」
何度も何度も
永遠に繰り返されるという思想。

始まりがあれば終わりもある。
最悪の事態も含めた
自分の人生を肯定して、
それを受け入れて
絶えず創造的にクリエイティブな
パワーにあふれて生きていける人。
それが
自分の人生が最悪であっても、
それを受け入れて超人となる
「空即是色」の部分であって、
まさに「永遠回帰の思想」だ。
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