帰る鳥

空から聞きなれた声。
白鳥が帰る。
別に、人間に挨拶をしているわけではないのだろうが、
冬の始まりと、冬の終わりを知らせる、そんな白鳥も、
今年は何かいつもと違うぞと感じたかもしれない。
パンを与えていると、冷たい視線を送ってくる人が居た。
今日の新聞には、鳥インフルエンザ飛来阻止のため、
餌をやらないという人の意見が載っていた。
でも、考えて欲しい、白鳥はシベリアからやってくるのだ。
鳥インフルエンザで騒いでいるのは中国南部なのだが。
夏鳥が渡ってくる、これからの方が危ないように思うが。
とにかく、危険なものが去ったと安心することにしよう。

５月。
我々の床下に生息しているのは、鳥インフルエンザだけではない。
人類発祥以来、我々は色々なウイルスと戦っているのである。
わざわざ床下に出かける人もあるが。
何故か、鳥インフルエンザを検索していると、タミフルにたどり着く。
風邪で死ぬ人もあるわけで、たやすく死なない体力をつけていることが肝心と思うが。
庭にやってくる、数々の鳥に、「消えろ」と呪いをかけなければならないとしたら。
心の中を吹き抜ける風に、凍え死ぬことになるかもしれない。