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我が認知症患者は喜寿の誕生日。何の祝いかもわからずに無心に誕生祝いケーキをほおばる。これも幸せの一風景。
その連れ合いは米寿を越えて、気管切開と壊死皮膚剥離の同時手術。全身麻酔で痛みも知らず昏睡。これも平安の一風景。
寝たままの姿勢で呼吸器のレントゲン撮影。若い技師は周囲の見舞い客や隣室の看護師にX線撮影開始の警告を発して避難を促し、自らは鉛の防護服で体を覆っていたが、患者の被爆には全く無頓着。これも治療の一風景。
手術の順調な終了を告げ、低空飛行ながら、なんとか治癒の方向にあるという医師の説明に、苦痛の継続を憂い、内心いっそ安楽死をと思う見舞い客。これも家族愛の一風景。某氏の言ではないが、まことに人生いろいろである。
「何事にも時があり、天の下の出来事にはすべて定められた時がある」(コヘレトの言葉3:1)
For everything there is a season, and a time for every matter under heaven. (Ecclesiastes 3:1) RSV
There is a right time for everything. (Ecclesiastes 3:1) NEB