河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

茶話106 / 愚弛ら

2024年01月03日 | よもやま話

冬の畑は平らかで一面を見渡すことができる。
夏の畑のナスやトマト、キュウリのような背の高いものがない。
みんな地に這いつくばるようにして、じっと寒さに耐えて春を待っている。
荒涼として殺風景だが、なぜかん平穏で心が安らぐ。

虚心坦懐(きょしんたんかい)。
「心を虚(むな)しうして坦懐なり」とでも訓読するのだろうか。
「虚」は〈空っぽ〉、平坦の「坦」は〈平らか〉、「懐」は〈思い・心〉の意。
心にわだかまりがなく落ち着いた平穏な心。
心にわだかまりがないのだから、理にかなわない無理なことはしない。
他から見れば愚弛ら(ぐうたら)かもしれないが、無理をしないのだから楽だ。

「江戸いろはかるた」の「ら」の札は「楽あれば苦あり」。「上方」では「楽して楽知しらず」。
どちらも「楽ばかり求めるといずれ苦労をする」「苦労しないと、将来、楽な生活ができない」という苦労を美徳にする意味。
黄門様こと徳川光圀の「楽は苦の種、苦は楽の種」からきた文句らしいが、農民はひたすら耐え忍べという封建臭さがただよっていて、どうも気に入らない。
「♪人生楽ありゃ苦もあるさ♪」の方がまだいい。

越中富山の薬売りの格言に「七楽(しちらく)」というのがある。
すれば が邪魔してならず せぬが はるか楽楽
赤字の楽は〈手抜き・怠慢〉で、青字は〈楽しさ・安楽〉の意。
楽しようと思って楽をすると、安楽な心にはなれない。楽しようと思わずに楽しく物事に取り組むほうが安楽な心になれる。
「安楽」は〈心身や生活にの苦痛がなく楽しい〉の意。
「楽」の反対は「苦」ではなく「安楽」なのだ。
今年は、平らかな心で楽楽に過ごそう!
他から見れば、やっぱり愚弛らなのだが・・・。


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