河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

ちょっといっぷく29――ゆらぐ②

2022年08月13日 | よもやま話

夏の真昼の炎天下、人も車も通らない。樹々はそよともゆらがない。
「ゆらぎ」の無いものにヒトは不愉快を感じる。だから、クソ暑い。
そんな中で、そよと吹いた風のゆらぎを言葉にすると詩になる。


なぞなぞなァに、
たくさんあって、とれないものなァに。
  青い海の青い水、
  それはすくえば青かない。

なぞなぞなアに、
なんにもなくって、とれるものなァに。
  夏の昼の小さい風、
  それは、団扇ですくえるよ。
(『金子みすゝ゛全集』より「なぞ」)


団扇(うちわ)の風やそよ風には微妙なゆらぎがある。だから気持ちいい。

風鈴 ちりちり 鳴りました
赤ちゃん すやすや睡(ね)ましたよ

風鈴 ちりちり 鳴りました
赤ちゃん にっこと 笑います

夢のなかでも 風吹いて
風鈴 ちりちり 鳴ったでしょう
(童謡 作詞:川路柳虹)


そよ風が吹く森の中の木漏れ日の下で、小川のせせらぎを聞いているとさぞかし癒されるだろう。
と思うのだが、癒されすぎて頭が冴えてきて、人生や自分自身を省みるものなのかもしれない。

 水の行くえに 
 身の行く末を 
 思や 夕暮れ花が散る 
  (小川未明の詩「唄」)


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