囲炉裏、釜戸、風呂、ストーブ、焚き火、ランプ。昔は燃やさなければ生活出来なかった。
今は、日常の生活の中で燃やすことがなくなった。ちろちろと燃える炎とは無縁の生活だ。
だからか、焚き火することを目的にキャンプに出かける人もいるという。
キャンプの焚き火、闇の中の炎には〈1/fゆらぎ〉の癒し効果以外にも、〈色彩効果〉や〈集中効果〉、そして、みんなで一つの炎を囲んでいるのだという〈一体感効果〉がある。
枕もとに置く小さな行燈(あんどん)に青い紙を張ったものを百個作る。
新月の闇の夜に、一つの部屋に数人が集まり、作った百個の行燈に蠟燭(ろうそく)を灯す。
一人一人が怖い話をして、そのたびに蠟燭を一本消していく。百の話が終わると、蠟燭は消さずに、闇の中で皆が一本の蠟燭に集中する。その蠟燭が消えると怪異が起こる。
「百物語」という怪談話の会は、〈炎の効果〉を利用した遊びである。
会社の出張でマレーシアに行くことになった三人の男。せっかくだから小遣いを継ぎ足して、百階建てのホテルの百階に泊まろうと、部屋をとった。
ホテルに着き、着替えをして、「ホテルを出て、外で夕食をとろうではないか」と話がまとまる。
フロントに行き、部屋の鍵を預けたとき、支配人が、
「お客様、本日はエレベーターの修理点検のため、11時からエレベーターが動きませんので、それまでお帰りください」
「オーケー」と言って外に出る。屋台の食べ歩きだ。一軒ずつ酒がはいる。三人ともすっかり上機嫌になり、時のたつのを忘れてしまった。
「そろそろ帰ろうか」とホテルに着いて、ハット気付く。時計を見ると12時。
エレベーターは止まっている・・・。
「しゃーない。階段で行くしかないがな。せやけど面白ないから、一階ごとに順番に怖い話をしよやないか。階段で怪談百物語や!」
最初はよかったが、中ほどを過ぎると汗びっしょり。ようやく99階までやって来た。
「さあ、あと一階や。おまえの番や! 最後の話はおもいっきり怖いのを頼むで!」
言われた男が、真っ青になって、
「ほんまに怖いで・・・フロントで、部屋の鍵もらうの忘れた・・・」
ワ ア ア ア ア ー!
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