※①のつづきです。
姫路を過ぎてバイパスを下り、出雲街道を北へ向かい龍野に着く。
日本で最も愛唱されている童謡「赤とんぼ」の作詩者 三木露風の生誕地である。
夕焼小焼のあかとんぼ、負はれて見たのは、いつの日か
山の畑の桑の実を、小籠につんだは、まぼろしか
十五で、姐やは嫁にゆき、お里のたよりもたえはてた
夕やけ小やけの赤とんぼ、とまつてゐるよ、竿の先
露風が歳の時に両親が離婚をし、露風は祖父の家に引き取られる。
そこで出会ったのが、お手伝いとして雇われていた子守娘の「姐や」である。
姐やは母親のいない露風を、このうえなくかわいがってくれたという。
龍野の市街を抜けると田園が広がっている。
車窓から古ぼけた民家を見つけるたびに、夕焼け小焼けのノスタルジアにひたっていた。
龍野をぬけて美作の国に入る。
友人宅に向かう途中にもみじ寺と呼ばれている寺があるという。
去年の今頃に行ったら真っ赤だったというので道をそれる。
山あいの村をぬけると二車線の道に出た。
なのだが、「全面通行止め」の看板。
バックしたらと言ったが、友人はう回路があるだろうと、細い横道にそれて進む。
すると、みごとに寺に向かう道に出た。
たいしたものだと感心していると、再び「全面通行止め」の看板。
片方の車線が開いていたので通り抜けられるはずだと、友人は強引に突き進む。
すると、みごとに工事現場に出た。
細い山道をひたすらバックして、結局、元来た道に戻る。
小一時間ほど車に揺られて観音寺に着く。
もみじ寺というだけあって、境内から谷間にある文殊堂まで、モミジの木に覆われている。
しかし、真っ赤のはずのモミジは、緑と黄と赤でまだらである。
桜が満開のはずだと誘われて行ってみると散った後であったり、閑谷学校のカイノキの紅葉がみごなはずだと言ってみると散った後であったりと、備前の国の旅は、どうも、「~のはず」が多い。
晴天日数が日本一というので「晴れの国」を歌い文句にしているが、私は「はずの国」とよんでいる。
※③につづく