のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



父と味噌カツ

2017年05月11日 | つれづれ日記
父が亡くなって丸3年。お墓参りに行きました。
枯れ花のまま、スギナが伸び放題になっているのが寂しい。

新しい花に変え、草取りをしながら墓誌を見ると、母が亡くなって16年、妹が亡くなって7年、
時の流れの速さ驚くばかりです。

祖父母は昔料理屋をやっていました。
そして口入れ屋、芸妓さんの斡旋業を兼ね、人脈を作ったらしいのですが、空襲で焼けてしまい
7人もの子どもたちは長男である父が中心になり、力を合わせて生きてきたと聞いています。

生活を支えるため、官職に就いた父はまじめ一筋でしたが、時々娘の弁当を作ってくれました。
弁当作りをしている母を手伝いながら、横から自分が作ったものを一品付け加えるのです。

生姜の天ぷらや黒豆入り卵焼きなど、ちょっと変わった物は父の手づくりでした。
料理屋の子どもだったからでしょうか。ほんとうは料理人になりたかったのでしょうか。

退職後は病気の母に代わり、毎日包丁を使っていました。
母の食べるもの、自分の食べるもの、盆や正月に来る娘たちの食べるもの。

24時間母の介護をするなかで、わずかな時間料理をするのが息抜きだったのかもしれません。
やがて自分の体が思うようにならなくなり、料理ができなくなると、
「包丁が持てないことが寂しい」と言っていました。

そんな父の好物は味噌カツでした。



家では作らずもっぱら外食の時でしたが、「何が食べたい?」と聞くと「やっぱりカツかなあ」という答えが返ってきました。

今の私も台所に立つことは苦ではありません。
あれこれ考えて作っていると、楽しいです。

祖父母から、父から、受け継いだDNAが生きているのでしょうか。
楽しんで料理をしていた父を思い出しながら、今日は味噌カツを作りました。