また自分のことで恐縮です。
じつは拙書『日本人が知らない「天皇と生前退位」』がkindle版で昨日から発売されています。
いつかアメリカの「TED」という番組で、本の表紙をデザインしている著名なデザイナーが、なぜ本には表紙があるのか。それは気まぐれにあるのではない。その表紙を見ることで本の中身を想像する。そこからすでに読書ははじまっているのだ、と言っていたのを思い返しています。そして本棚にならぶ背表紙を観て、深く心に残った本、すぐ内容を忘れてしまった本、そのさまざまなありようから、人は自己の歴史と対面するのだとも言っていました。
そう思うと簡便だとか場所を取らないというkindle版の利便性は、ある意味で、その人の歴史をどこかで損なってしまっているのではないかなぁ、とも考えてしまいます。つけ加えるに、わたしはkindle派ではありません。本をモノとして、大切にしたいタイプです。書き手の気持ちは、書籍になることで実現されると、信じています。
でも拙書のkindle版が出版されたことは、書店まで足を運べない方、本を持ち続けることが体力的に無理な方、そんな方々にも読んでいただける機会を増したことは事実です。そして2割ほど値段も安いわけで、もって慶賀とすべしかとも思います。まずは、多くの方にお読みいただけることを願っています。