2016年度まで3年にわたって開講してきた淑徳大エクステンションセンター講座が大学側の意向で全講座が閉講になってしまいました。そこで自主的に講座設定ができないかと模索してきましたが、2017年度はNPO新人会とわたしがかつて開講していた私塾「宏究学舎」を統合して「新講座」を創設することにしました。
これまで淑徳大では『日本精神史』という根幹をテーマに、日本の文化芸術、さらに近現代の国家観や社会の変遷についてお話しを続けてきました。そこで、この夏学期では、さしあたってみなさんから好評だった「日本近現代の政治思想史」をテーマに、日本人がもつ精神性や思想性について、みなさんとともに考えていきたいと思っています。
講義内容および概要は下記の通りですが、今回の講座では、わたしがいま追いかけている1930年代から戦時期に至るまでの「テロと芸術」に関連して、軍国主義に席巻されながら、池袋を中心に貧しい中にも、そのみずみずしい感性と美意識を滾らせていた若い芸術家の足跡を訪ねてみたいと考えております。自由参加ということになりますが、みなさんとともに詩人小熊秀雄が名付けたといわれる「池袋モンパルナス」界隈を中心に、佐伯祐三、松本竣介などのお話しをしながら探訪をしてみたいと考えております。これも含めて講座にご参加いただければと存じます。
***NPO新人会・宏究学舎主催 日本近現代史講座***
◆◇人物から見る!日本「精神史」を考える!◇◆
明治維新から150年! 近現代の日本のプロフィール
*期 間:2017年5月27日~7月15日(全6講)
*曜日・時間:毎週土曜日<午前11時30分~13時>
*定員・受講料:30名程度 9000円(全6回分)
*会 場:東京セミナー学院(JR池袋西口下車徒歩5分)
豊島区西池袋5-4-6東京三協信用金庫ビル内
【講座内容】*本講は2016年度まで開催した淑徳大講座「国家論」のPartⅢにあたります。
明治維新から150年。日本の近代・現代の歴史は、西欧列強の「近代国家」「国民国家」を急速に受容するものでした。夏目漱石が見抜いたように〝内発的〟な形成ではなく〝上滑り〟の歴史でした。そのなかで極東の小国日本は、日清・日露の両戦で勝利し、第一次世界大戦を踏み台に世界の五大国とされましたが、そのとたん方向を見失い、国内の経済矛盾と相まってアジア太平洋戦争で敗れ、戦後もその経済が失速するや、また大きな混迷に陥った観があります。そこで本講座は、政治世界の中で明滅した人物に焦点を当て、日本の近現代史がいかなる光芒を放つのか。おもに昭和史に光をあてながら考察します。
第1講(5月27日):〝幸徳秋水〟と〝吉野作造〟
~政治の理想をどこに置くのか?
第2講(6月3日):〝西園寺公望〟と〝昭和天皇〟
~国家の理想をどこに置くか?
*「講外講」(6月10日・自由参加)
<1930~40年の政治と芸術を考える!>
池袋モンパルナス・小熊秀雄・熊谷守一・佐伯祐三・松本竣介・林芙美子などの事跡を探訪する!
第3講(6月17日):〝広田弘毅〟と〝幣原喜重郎〟
~外交が国家を規定する!
第4講(6月24日):〝鳩山一郎〟と〝岸信介〟
~〝ポピュリズム〟か統制主義か?
第5講(7月1日):〝石橋湛山〟と〝池田勇人〟
~〝経世済民〟と国家とは?
第6講(7月15日):〝佐藤栄作〟と〝田中角栄〟
~経済成長か〝金権政治〟か?
【講師プロフィール】八柏龍紀(やがしわ たつのり)
慶應義塾大学法学部・文学部卒。高等学校教員を経て社会哲学・日本思想精神史に軸足をおき執筆・評論活動を行う。東京大学全学自由ゼミ講師、『週刊金曜日』書評委員、淑徳大エクステンションセンター講師などを歴任し現在京都商工会議所「京都学」講師。著書には『セピアの時代』(大和書房)『戦後史を歩く』(情況出版)『「感動」禁 止!』(ベスト新書)『日本人が知らない「天皇と生前退位」』(双葉社)等がある。
***お問い合わせ・お申し込み***
NPO新人会代表:唐沢俊介 E-mail s.k.asbb.may16@z3.keio.jp
*八柏龍紀 E-mail yagashiwa@hotmail.com
☆なお、お申し込みは教室の関係もあり、5月9日(火)までに、上記のメールあてに、「参加希望」とお書きになり、ご芳名・メールアドレス等をご記載の上、ご一報ください。