ついに、完結!
シリーズが始まって、6年半。
年に2巻発行で、図書館で順番待ちながら追っかけてきました。
感慨深いわぁ。
最終回「大海篇」の前に、
「出帆篇」
これは、図書館予約して待っていたけど、
たまたまBOOKOFFで目にして、待ちきれず300円で買ってしまった。
いよいよ出帆・・、と言うわりにはスローな展開。
呉服(絹)仲間から外されて、太物商(木綿を扱う)として活路を見出し、
その後さまざまな創意工夫と誠実な商いで太物仲間の信頼も得た五鈴屋。
その後、お上に預けた上納金を放棄することにより呉服商の看板を取り戻し、
太物仲間と共に絹物も扱える「浅草太物呉服仲間」を立ち上げる。
晴れて呉服も扱える店になったが、一つ店で客層は様々になり
来ていただく人に「術無い思い」をさせていることに違和感を覚える。
本当の、「買うての幸い、売っての幸せ」は何なのか‥。
そして、「大海篇」
吉原での衣装競べで、実の妹のいる音羽屋に負けはしたが、
屋敷売りの新店舗も構え、高家より婚礼の衣装、嫁荷の受注と、
商売は順風満帆に進んで行く。
が、そんな時こそ、何かある・・
最後の最後に怒涛の展開があった。
一瞬、かつて惣次が商売上手な幸へ嫉妬を抱いたのを思い出したが、
それも何か違う・・惣次は今や、両替商井筒屋の主人だ、
元々、商売に貪欲ではあるが、そんなケチな男ではないはず。
そして、今ここに立派に成長した手代の賢輔がいる。
賢輔の父、治兵衛が賢輔が奉公に上がる時に言い聞かせた言葉が重い。
金は銀よりも重うて、柔らかい。何より、いつまでも変わらんと光り続けることができる。
金と違うて、銀は曇ってしまう。けど、その曇りは銀が人から人の手に渡った証。
仰山のひとの商いに役だった証だす。金と銀、両方揃わな、商いは出来ませんのや。
五鈴屋のご寮さんは、紛れもない金貨だす。
『賢輔は銀になり、どないなことがあったかて金の傍を離れず、命懸けで金を生かす努力をせぇ』と。
その教え通り、それが自分の生きる道なのだと、心から決意する賢輔。
主人を慕う賢輔の真心に心打たれた。
―――
誰の精進も無駄にせず、決して利を貪らず、
求めるひとのもとへ、吟味した品を届ける。
新たな夢が人びとの精進によって叶えられていく、
のちの世に伝えていけるように橋を架けていくのだ。
事業者はそうであって欲しいね。