井上ひさしの「短編中編小説集成 第2巻」を、相変わらず読み続けています。図書館の貸出期間は残りがあと10日ほどありますから、読めるだけ読みたいと思っています。この第2集の中から「モッキンポット師の後始末」シリーズの5編の短編を読んだことを前回はブログの記事にしました。
今回読み終えたのは、この全集第2巻に収録されている「四十一番の少年」シリーズの3編です。ボクが中学から高校時代(今からもう50年も前の話です)に読んだ井上ひさしの小説の中では、もっとも衝撃的で考えさせられショックを受けた小説でした。
「四十一番の少年」「汚点(しみ)」「あくる朝の蝉」。この3編は、井上ひさしの自伝的要素の濃い小説です。一家が離散し、仙台にあるカトリック系養護施設に入れられた子供時代の体験にもとづき、少年の持つ夢の切実さを描いています。 横暴な上級生への恐怖、幼い弟への思いやり、貧しい祖母に家に置いて欲しいと強く頼めない肩身の狭さなど、著者の当時の実体験や気持ちがすごく反映されているんだろうなと感じながら読みました。そして、なんとも切なくやるせない気持ちを抱きながら読んだ当時のことを思い出しながら、今回も胸が締め付けられました。
ネットで検索したら、50年前にボクが読んだ文庫本の画像が出てきました。そうそう。ボクが当時買って読んだ文庫本は、間違いなくこんな表紙でしたよ。10代の頃に夢中になって読んだ本を還暦を過ぎてまた読み直すことができるなんて(しかも再び感動を伴って)、幸せなことだなぁ…と思っております。