アメリカ合衆国アラスカ州アンカレッジから飛行機でやっと到着出来るとされる島がある。その名はミドルトンアイランド(ミドルトン島)。グーグルでも検索出来ないような島である。
東日本大震災の被災地から漂着したサッカーボールがそのミドルトン島に保管されているとする記事がインターネットに出、新聞各紙に大きく報道された。
保管していた男性はアンカレジ近郊に住むレーダー技師デービッド・バクスターさん。
そのサッカーボールは3月中旬、アラスカ湾にあるミドルトン島の海岸を一緒に散歩していた同僚が発見し、日本語らしい文字が書かれていたことから、日本人の妻である「ゆみ」さんを持つバクスターさんにボールが託されたとある。
ここにボールがリレーされた糸、人の人の繋がりがあるではないか。
あとで判明するが、被災地の陸前高田市の高校生が所有していたサッカーボールが漂着し.偶然と言うべきか、奇跡というべきか、人から人に、手から手に、最後は日本人の妻までたどりついたのである。
震災発生から約1年、陸前高田から実に約5,000キロを隔てての漂着とある。
この記事を読まれた方の中に今も歌いつがれている島崎藤村の『椰子の実』を思い浮かべられた方も多かろう。
南太平洋の何処かの島から漂流を始めた椰子の実がやがて愛知県知多半島恋ケ浜に打ち寄せられた。柳田邦男からこの状況を聞いた藤村が作ったとされる逸話が残る。いずれにせよ望郷を綴る詩であり、北太平洋をさ迷ったこのサッカーボールもこれと同じく元の位置に納まりたかったのではあるまいか。ふるさとへつながる糸を持ったまま。
最近、京阪枚方市駅プラットホームに、ある大学が出しているメッセージボードがある。
個々の持論や宗派は別にして頂いて、書かれている内容は次のとおりである。枚方市で乗換える時は必ず読むことにしている。
『人と人はつながっている
私達がすべきこと
今、あなたにできること』
とある。
私達がすべきこと
今、あなたにできること』
とある。
《 拾われし 足跡残る君が球 巡らす想いは 幾ばくや(柳子) 》