エール・チャイルド贈本企画 ☆震災で被災した子ども達に☆

東日本大震災で被災した子供たちに心の復興支援を目指し、有志で絵本児童書を贈る活動は10年目の2021年4月に終了。

2021年3月11日に寄せて

2021年03月10日 | 活動報告/日記

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この10年、贈本活動をしながら忘れられないある男の子との出会いがあります。

震災直後の5月、居てもたっても居られず、キャスターバッグに入るだけ絵本や児童書を詰め込んで宮城県に入りました。
南三陸の歌津岬の避難所の庭先で、沢山の子ども達が遊んでいました。
この偶然の出会いに、持ってきた本を並べ皆に選んでもらい手渡していたその中に、少し離れた所から本を選ばす眺めている男の子がいました。
声をかけると、「ここには読みたい本がない、僕は『絶望』の本がほしい」
「僕のうちは流されて、僕の本も僕のゲームも全部全部流されたんだ」
一瞬言葉を失い、返せた言葉は、「君に読んでもらいたい絶望を希望に変えた物語の本を贈るね」と約束をすることだけでした。

そんな忘れられない出会いが、被災地の子ども達に絵本児童書という形で再生の物語、希望の本を届けたいとの思いをより強くさせて、その後の活動の原動力となりました。

小さな団体の私達が出会える子ども達の数は多くはなかったかもしれません。けれども、縁あった子ども達に絵本児童書を届ける活動は希望の種を蒔き、育てることのように思え、そのように子どもたちとつながる喜びが消えることはありませんでした。

その成長する木はきっと、さらに多くの人に希望をもたらせてくれるに違いないと信じ願い、多くの支援くださる方々と活動した月日を積み重ねた10年でした。

『心の復興』を、と求められるこれからの次の10年は私達にできる絵本児童書の読み聞かせを活動の中心におき、この10年で得たこと気付いたことを生かしながら新たな挑戦をしていきたいと思っています。

あの歌津岬で出会った男の子からは、後日、贈った本に付けていた返信葉書いっぱいに一言だけ、
『ありがとう』との大きな文字が送られてきました。
彼とは仮設住宅から引っ越すころには連絡が途絶えてしまいました。今、高校を卒業しただろう彼はどんな夢をもつ青年に育ったことでしょう。

この10年の間に出会ってきた子どもたちの、限りない未来の希望に満ちた若木のような姿を思い浮かべながら、エールを送り続けていきたいとあらためて思う今日、2021年3月11日です。







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