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解雇無効と賃金支払義務

2013-09-02 | 日記
解雇が無効だったとしても,ノーワーク・ノーペイなのですから,働いていない期間の賃金は支払う必要はありませんよね?

 解雇が無効の場合において,労働者が就労の意思と能力があるにもかかわらず,使用者が就労を拒絶しているような場合には,就労不能の帰責事由が使用者にあると評価されるのが通常です。
 したがって,解雇された労働者が現実には働いていなかったとしても,使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項),実際には働いていない期間についての賃金についても,支払わなければならなくなります。
 したがって,例えば,月給30万円の労働者を解雇した1年後に解雇が無効と判断された場合,既に発生している過去の賃金だけで,30万円×12か月=360万円の支払義務を使用者が負担するリスクを負っており,その後も毎月30万円ずつ支払額が増額されていくリスクがあることになります。

 明らかに使用者側に落ち度のある解雇が存在することは,私も否定しません。
 しかし,問題社員の中には,使用者に対し積極的に自分を解雇するよう働きかけて自分を解雇させ,解雇無効を主張して働かずに毎月の賃金(高額の解決金)を取得する意図を有している者もいるのだということを理解する必要があります。
 『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)の意図を曲解し,自分を解雇させて「不労所得」で金を稼ぐなどと周囲に公言して憚らない強者すらいるといった現実を,あなたは信じることができますか?

弁護士法人四谷麹町法律事務所
弁護士 藤田 進太郎

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