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懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為

2013-08-14 | 日記
懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為が新たに判明した場合,懲戒解雇の有効性を根拠付ける理由とすることはできますか?

 懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為が新たに判明した場合,懲戒解雇の有効性を根拠付ける理由とすることができるかどうかに関し,山口観光事件最高裁第一小法廷平成8年9月26日判決(労判708号31頁)が以下のように判示してますので,懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為は,「特段の事情のない限り,」懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできません。
 「使用者が労働者に対して行う懲戒は,労働者の企業秩序違反行為を理由として,一種の秩序罰を課するものであるから,具体的な懲戒の適否は,その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情のない限り,当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから,その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものというべきである。」
 「これを本件についてみるに,原審の適法に確定したところによれば,本件懲戒解雇は,被上告人が休暇を請求したことやその際の応接態度等を理由としてされたものであって,本件懲戒解雇当時,上告人において,被上告人の年齢詐称の事実を認識していなかったというのであるから,右年齢詐称をもって本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできない。」

 懲戒解雇した時点で認識していなかった非違行為が新たに判明した場合は,
① 山口観光事件最高裁平成8年9月26日判決のいう特段の事情があるかどうか
② 過去に行った普通解雇の理由に追加するかどうか
③ 当初の懲戒解雇とは別途,予備的解雇をする場合の懲戒解雇又は普通解雇の理由とするか
等について検討していくことになります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
弁護士 藤田 進太郎
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