午前0時を過ぎて2暦日にわたって残業した場合の割増賃金(残業代)計算のポイントを教えてください。
1 通常の労働日に2暦日にわたって残業した場合
通常の労働日に2暦日にわたって残業した場合,午前0時をもって労働時間を分断するのではなく,前日の労働として通算するのが適当な解釈であると解されます。
例えば,A社(所定労働時間8時間,始業時刻11時,終業時刻20時,休憩1時間)において,11時から翌6時まで働いた場合の時間外労働時間は10時間(=終業30時(翌6時)-始業11時-休憩1時間-所定8時間),深夜労働時間は7時間(=29時(翌5時)-22時)になります。
では,A社で11時~翌14時まで働いた場合の時間外労働時間の計算は,どのように行うのでしょうか。
残業が翌日の始業時刻まで及んだ場合,翌日の始業時刻以降は通常の賃金を支払うことで足りるため,1日目の時間外労働時間は11時~翌11時として計算します。この場合の時間外労働時間は15時間(=終業35時(翌11時)-始業11時-休憩1時間-所定8時間),深夜労働時間は7時間(=29時(翌5時)-22時)になります。そして,翌11時~翌14時の労働時間は,翌日の通常の労働時間として扱うことになります。
2 翌日が法定休日の通常の労働日に2暦日にわたって残業した場合
労基法上の「休日」とは暦日を指し,午前0時から午後12時までをいいます(昭23.4.5基発535号)。
したがって,法定休日の前日の勤務が延長され,午前0時を過ぎて労働した場合,午前0時以降の労働は,法定休日労働として扱うことになります。
たとえばA社で11時~翌6時まで働いた場合,前日の時間外労働時間は4時間(=24時(午前0時)-始業11時-休憩1時間-所定8時間)となり,前日の深夜時間外労働時間は2時間となります。そして午前0時以降は法定休日労働時間は6時間(=翌6時-午前0時),深夜労働時間5時間(=翌5時-午前0時)となります。
また,法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合においても,休日割増賃金を払うのは法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分となるため,午前0時以降は休日割増賃金を支払う必要はないとされています。
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