My ordinary days

ようこそいらっしゃいました!
ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

ポール・ギャリコ「雪のひとひら」

2010-04-09 10:45:25 | 読書
女性の愛と生涯を雪のひとひら・・snowflake・・にたとえて物語にしたもの
と解説にありますが、わざわざそんな風に捉えずともいいような・・・逆にこの物語を小さな枠にはめ込みすぎてはいないのでは、と思いつつも
さらに逆に、背表紙にこの物語の伝えようとしている(と私が感じた)ところを載せてしまうことによってある種の先入観を与えてしまうことも考えられるわけで

すっと入っていけばいい本かな、と思います。


雪のひとひらが空から地上に落ちてきて大変な目にあったり美しいものを見て心を動かされたりしながら
恋に落ち子供を育て別れを知り、そしてこの世界から旅立っていく。

その間中、雪のひとひらは問いかけ続けます。

「私を、この世界をつくりだされた方は何者なのか。何を目当てになされたものなのか」
雪のひとひらは、その何者かからそそがれるいつくしみをしみじみとその身体に感じることはできるのですが、そうした問いの答えを与えられることは最後までありませんでした。

ただ、雪のひとひらは死を前にして自分のつつましい生涯が、死すべくして生まれたこの身が無意味ではなかったことを悟ります。雪のひとひらの造り主が何者であろうと終始彼女を必要な場所に送り、変わらずに見守りつづけてくださっていたことを。

「ごくろうさまだった、雪のひとひら。さあ、ようこそお帰り」
雪のひとひらが最後に耳にしたやさしくなつかしい声。


素直に読んでほしい物語。
「女性の人生を~」云々書いてありますが、性別関係なく楽しく読めるのではないかなーーーと思います。