My ordinary days

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ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

読み終わったー:中井英夫「虚無への供物」

2011-10-18 11:42:07 | 読書
ぜいぜい、やっと読了~ 長かったよ~本文も読んでる時間も。

日本ミステリ界三大奇書の最後の一冊です。
ドグラマグラは学生の頃、黒死館はついこの間青空文庫で読み終えていましたが、

うーん、奇書は奇書だ。

昭和30年代初期の東京を舞台に、氷沼一族にふりかかる災厄を素人探偵たちが真相はこうだとばかりに推理していくのですが・・・以下、出版社の紹介文:「戦後の推理小説ベスト3に数えられ、闇の世界にひときわ孤高な光芒を放ち屹立する巨篇ついにその姿を現す!井戸の底に潜む3人の兄弟。薔薇と不動と犯罪の神秘な妖かしに彩られた4つの密室殺人は、魂を震撼させる終章の悲劇の完成とともに。漆黒の翼に読者を乗せ、めくるめく反世界へと飛翔する。

なんじゃ~めくるめく反世界って??煽りがすごいです。

もとよりアンチミステリのお話である、ということでしたし、ドグラ、黒死館に並んで評される作品なので普通ではないと思っていました。 ・・・・でも 普通と言えば普通かなあ?

似非探偵たちと後から登場する本当の探偵役と、それに対する「犯人」がいるのかいないのか?だいたい、最初の死者が出た後に事故か殺人かわからないのに「絶対殺人。」と、無理やりに推理が始まるんだよね。時代の雰囲気、風俗を楽しむことはできます。当時からゲイバーはあったのね、とか車や電話といったものの扱いや、服装や。この長い小説自体が 虚無 への供物、ささげものなんだろうなあ。

トリックを楽しむ作品ではないです。
最終章の謎解き?も、んまぁほかにはいないだろう、登場人物は限られているしと思っていたけれど
ネタばれするのもなんだから詳しく書けませんが、読者を含む探偵役がどうのこうのいえる話では初めからなかった。ミステリ風ではあるけれど、ミステリにするならこうもできます、ああもできますというように探偵役の皆さんの推理あれこれが結局は単なる想像でしかなかったりその想像が真実にリンクしてこようとしたり  むむむ、表現がまずいなぁ

これを無人島に持っていく一冊にはわたしは選びませんが、アマゾンの書評を読むとそうおっしゃる方々もいるから繰り返し読んでいればいつの日にか感動が押し寄せそんな気になるのかもしれません・・・途中から誰が犯人でもいいやー的気分になったのは確か。ミステリと見せかけた風を装い、別の意味で読者をミステリの中へと巻き込むお話、というのが近いか?

そこを楽しむんじゃなくてそのもうひとつ上層部分を楽しむ小説と考えればよい、のかな。そんな体で再読してみればもっと楽しく読めるかもしれません・・・。