『地獄でなぜ悪い』の感想、最終回です。
※ネタバレ全開なので映画の内容を知りたくない人は絶対読まないで下さい!
☆もしもヤクザが映画を撮ったなら・・・
それにしてもヤクザが映画を撮る映画って凄い発想ですね。
俺はモノホンのヤクザに知り合いはいないから
詳しいことはわからないけど
時代と共にヤクザ社会も変わってきてるんでしょうね。
この映画に登場するヤクザはちょっと時代遅れのヤクザかな。
いろんなヤクザがいてると思うけど
やっぱケンカが強くて派手好きでカッコつけな人が多いと思うので
実際に映画に撮られたら調子に乗って喜ぶんじゃないかなw
上の命令には絶対服従なので親分が「映画を撮る!」と言い出せば
従順に撮影機材なんかも使いこなしてしまうかもしれない。
そんな“もしもヤクザが映画を撮ったなら・・”の世界を
笑いとバイオレンスで見事に映画にしてましたね。いやーほんまおもろかった!
殺し合いながらも必死で移動カメラのレールを敷いたり
死んでも撮影カメラをはなさない姿にはちょっと感動してしまいました。
ラストは警察がふみこんできて大銃撃戦!
もの凄い銃弾と火薬の量!そして血の量がハンパじゃない!
まさに地獄!地獄でなぜ悪い! 映像も音も物凄い迫力で圧倒されました。
「キル・ビル」のタランティーノもびっくりやろ!
☆“映画愛”に溢れた作品!
『地獄でなぜ悪いは』8ミリフィルム時代からの
自主制作映画出身の園子温監督の“映画への愛”に溢れた作品。
俺もかつて8ミリフィルムやビデオで
自主制作アクション映画をまさに
命がけで撮っていたので
この映画にめちゃくちゃ感情移入できたのよ。
『地獄でなぜ悪い』の冒頭で自主映画グループ「ファックボンバーズ」が、
偶然出くわした不良同士のケンカにカメラを向けたり血まみれのヤクザを撮影したりという
好奇心旺盛すぎる映画バカの行動が笑えたし、よ~くわかりました。
俺の場合は16歳の時、
バイクの事故で車と激突して吹っ飛んだ時、
「スゲー!事故の衝撃って!この事故を映画に撮りたい!」と思ったし、
空き家や廃墟に勝手に忍び込んで
壁や窓ガラスを破壊してアクション映画を撮ったりしてました。
今思うと、不法侵入、器物損壊といった犯罪でしたわ・・・すみません。
とにかく俺も「ファックボンバーズ」のような好奇心と行動力の塊だったし
具体的な根拠とかプランはなかったけど「いつか絶対凄い映画を撮ってやる!」
と本気で思っていたイタイやつやったから。
いろいろ経験していくうちに現実を知り、自分を知っていきました・・・
自主映画仲間との
“夢を語り合った楽しい時間”“無茶なゲリラ撮影”
“パイロット版を何度も見せる”“仲間割れ”
などのエピソードはプロを目指したことのある自主制作映画経験者なら痛いほど理解できるでしょう。
そしてフィルムからビデオへ、さらにデジタル撮影に時代が変化していき
自主もプロも映画制作の現場もずいぶん変わってしまいました。
ほんと極端な話、将来の映画制作はパソコン一台でだれにでも作れてしまう時代がくるかもしれません。
フルCGで俳優も背景も実写と見間違わないような映像をつくれてしまう日もそう遠くないかもしれません・・
平田(長谷川博己)の
「金のためにくだらない映画を撮って家を建ててるバカな監督どもが日本映画をダメにする!」とか
「俺は永遠に刻まれる一本を撮りたい!それを撮れたら死んでもいい!」
というセリフには痺れました。
ほんま久々に全身全霊に響く、めちゃくちゃおもろかった映画です。
映画の好みや評価は人それぞれなので論争はしたくありませんが俺はこの映画大好きです!
あの辛口毒舌の井筒監督もこの映画は「わははは、めちゃおもろいやんけ!」って言うんじゃないかなw
長々と支離滅裂な感想を書いてしまいましたが
ほんまにパワフルでめちゃめちゃおもろい映画です!
万人ウケする映画ではないと思いますがオススメの映画です。
まだ観られてない方はぜひ劇場へ!