昨日段取り通報のあったももちゃん今日の16時半頃大きな雄子牛を分娩しました。
駆け付け通報(膣内に留置してあった体温計が産道に出てきた子牛の蹄で体外に押し出されて体温計が34℃以下になったと受信したとき)が16時15分にあり、すぐ見に行くと大きな前肢の蹄が2つ、球節上部に徳利結びのロープをかけ人力だけで引っ張ろうとしたが、蹄(子牛)の大きさを考えると、人が力尽きたり、ヒップロックして子牛が産道で止まってしまうかもしれないと思い、滑車牽引(我が家の滑車は動滑車が2つなので4倍の力)にしました。
滑車の力もあって、牽引開始から5分もかからず娩出しました。体重は50kg以上ありそうな大きな大きな雄でした。50kg以上は我が家では1年に1回あるかどうかというような大きさです。
ももちゃんは娩出後(5分ぐらい)立てずにいました。なので、私がももちゃんの代わりに子牛をワラで拭き(ももちゃんは超ざらざらの舌で舐めるのですが、)ました。この行為はリッキングといいます。リッキングをすると子牛の意識が確実に向上します。また、娩出したとき子牛の口に羊膜が被さっていると窒息してしまいます(個人的には立会できていないときの死産はこれが多いと思っています)が、リッキングで外れます。
大きな子牛は、産道で頭を締め付けられるためか、娩出後意識の低いことが多いです。今回もほぼ仮死状態で私のリッキングでなんとか呼吸し始めたが弱いので、牛用の手動人工呼吸器を使い、気道中の羊水の吸引、その後の空気の送り込みをしたところ呼吸はしっかりしてきましたが、まだボーとしていました。
このころももちゃんが起きて来て、リッキング(あらゆるところを舐め、羊水、膜などをとってしまいます。)し始めたので、私は片付け、助産道具の洗浄消毒に移りました。
1時間ぐらい立って子牛が立とうとし始めましたが、フラフラで(意識の低さ、体重の重さ両方が原因か?)立てません。
我が家では1時間ぐらい経って乳首に吸い付けない子牛には、確実な初乳摂取のためと哺乳意識を高めるために初乳製剤を飲ませます。
牛は親の移行抗体をもらうのは初乳からのみです。
胎盤を通しての移行抗体授受はありません。
なので、初乳(又は初乳製剤)を早く飲めるか飲めないかでその後の1-2カ月病気にかかりやすいかどうかが決まります。
初乳製剤を飲んでからしばらくするとなんとか立っていられるようになったので、臍(10cmぐらい臍の尾ごと)消毒をしました。
臍帯は乾くまでは、細菌感染する可能性が高ので、我が家ではヨード剤消毒をしています。大きな子牛の臍帯は太いので夏でも乾くのに時間がかかるので、必須です。