【実話現代奇談】きつつきやま(下 その後)
町ちゃんが作業を終え、バイクできつつきやまの住宅街にある溜め池近くで転倒して事故った話である。
自損事故だったのだが、奇跡的にかすり傷で済んだが、ヘルメットが真っ二つに割れてしまった。まるで瀬戸物が割れたみたいな断面だったという。
その事故検証を近くの交番の巡査がしているときに、警察無線が入り、自殺死体発見の知らせが入った。いったん中断して後日交通課と一緒に検証となったが、それ以降巡査からは一切連絡なかった。
その月から連続して毎週市内の誰かが死ぬという、町の歴史で一番恐ろしい事件が起こり、町は騒然となる事故証明がでないと保険がつかえないので交番に再び寄ると、その巡査が怖い顔をして「その件はなかったことに」と言われてしまった。
壊れたバイクはフレームが損傷していて近所のバイク屋に引き取ってもらうことにした。バイク屋がその壊れたバイクを見るなり「あんた、これイタズラ?」と言われた。
よくみるとナンバープレートが真っ二つになっている。町ちゃんは事故したバイクを軽トラに引き上げ、納屋にしまった。余りにも不自然な事が続いたので、納屋に塩を撒いて、当分バイクは乗らないことにした。それ以来、その溜め池も通ることをやめたという。
その事件は7人連続怪死事件と言われ、未解決のまま終わり、マスコミも警察もその件はまったく触れなくなった。
溜め池は、この事件の最初に怪死した青年が亡くなった場所であったという。その話を聞いた夜、家に帰るのが嫌になってしまった。
家に帰ると、酒が少し抜けてきたので、一休みしているてと、隣の部屋から棒で素振りをしているような音が聞こえてきた。
最初は外の風かなと思っていたが、思ったが次第に音は大きくなっていった。隣の部屋は、開けてはいけないというあかずの部屋。ますます恐怖が募ってきた。あまりの怖さに勢いよく布団をかぶって寝た。
何事もなく朝を迎え、仕事に出ようと玄関を開けて庭にでた。
思わず叫び声をあげてしまいそうになった。使ってない錆びた洗濯干しに、まるで首吊りみたいにロープがぶらさがっていて、その下に水のはいったバケツが置いてある。
誰かがこの家にいりびたって何かしているのか、家主に相談するか?とにかく今日の仕事が終わったら家主の邸宅に寄ることにした。
家主の次女さんに勇気を出してこの一部始終を伝えようと話を切り出すと、申し訳なかったと言ってきた。たぶん、近所の悪ガキの仕業なので、警察に通報しとくとで終わってしまった。
その週末からまた東京。今度は1週間空けることになる。戻るのは非常につらいのだが、まだ契約は3月まで。(この時点で2月半ば)次に何かが起きたら考えることにした・・・(この続きはこちらから)